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「独裁の平和」か「正義の混乱」か

 シリア停戦条件でロシアとアメリカが合意したとの報道がでている。「停戦合意」と聞いて反対する人はいないだろう。だがこの合意よく考えれば、おかしな話である。なぜ、シリア内の停戦に当事者ではない、ロシアやアメリカが出てくるのか、そしてそこが合意できないとなぜまとまらないのか。

 いまさら、代理戦争の状況や力が正義の国際政治の現実を解説しようというのではない。逆に、情報過多とも言える現在では、紛争地域の複雑な関係図など、誰でも一度は目にしたことが有るほど、テレビやネットでは解説や説明が溢れている。そのために、そういう複雑な相関図を見せられると、それで理解し納得したかのような錯覚に陥ってはいないだろうか?

 これまであまりにも現実を無視した原理主義や理想主義的な解説だけだった日本人には、これでもまだまだ足りないとも思う一方で、ここで思考停止をしてしまうことが恐ろしいとも思える。必要なのは、現実をどのようにして変えていくのか、その具体的な考えを養うことに有る。

 アラブの春後の混乱や、独裁的な政権を大国が軍事力で打倒した後の内戦状態に対して、どう解決していけば灯りが見えてくるのか、この難しい問題の解答が書けなければ、人類全体の平和など夢のまた夢であろう。これを少し違う角度で言えば、独裁政権による人権が抑圧されていようとも、曲がりなりにも平和が保たれ人々が爆撃におびえずに住める国が良いのか、正義や民主主義の理想の為にはテロも辞さずに武力による独裁政権打倒を目指して内戦を起こし、結果として多くの人々が殺戮の恐怖におびえて暮らすか国を逃げ出すことになる、そんな国家が良いのかという、究極の二者択一問題でもある。

 人権を高々と掲げるヨーロッパの国々も、高い空から爆弾を落とすことには参加しても、難民を生み出すこの究極の二者択一問題には頭を抱え、ほとんど及び腰である。しかいながら欧米はいま、この二択の前者を選択しようとしているかに見える。独裁政権維持もやむなしという考えである。
 むろん力(軍事力、外交力などの国力)のない日本が、その具体的な解決策を打ち出すことは出来まい。アイデアがいかに正しかろうと、それを実行させられる力が無い限り、当事者達には絵空事なのだから。

 それでもせめて、現状認識の次には、現実を変える具体的な処方箋を考えるという段階に進んで欲しい。たとえ答えがなくても、考える事、悩むことが重要なのである。そうで無ければ、シリアやイラクの人々が、「パリのテロだけなぜかくも大騒ぎされるのかわからない」という素朴な疑問にも答えられないだろう。実際、パリ程度のテロは、これらの国においては日常なのであるから。

平成28年2月23日(火)
秋山鷹志