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パナソニックはいまだ泥沼の中!?日本家電の堕ちた罠

 少々縁があったこともあり、松下電器時代からパナ製品はわりに愛用していた。今度布団掃除機が出たので、さっそく買おうかと価格とどんな仕様かを調べてみた。

 そこで驚いた。出たばかりだというのに、辛口コメントだけが目につく。 ま、コメントというのはたいてい批判から入るので、さして気にもしてはいないのだが、やはり気にはなる。そしてコメントを読んでみて、そこには日本の家電が陥った罠が隠されているのに、未だにパナは気がついていないのだろうかと、滅入ってしまったのである。

 コメントで低い評価になっている原因は大きく二つ上げられている。ひとつは、吸引力が弱い、もうひとつが、今回の製品の売り(目玉の特長)である、ハウスダスト・センサーの性能の悪さである。これは致命的であろう。売りのひとつに掃除の手間を省くために、このタイプで初の紙パックにしたとある。それは主婦の意見を取り入れた結果だというのだが。

 これらから一体何が読み取れるのだろうか?むろん個人的な意見であるから、正しいのかどうかはわからない。だが、日本の家電がここまで墜ちてしまった原因は、このあたりにもありそうに思える。

1.基本機能への回帰が十分なのか

  ガラパゴス携帯と呼ばれた理由のひとつが、べたべたとやたらと増やした付加機能だった。家電も全く同じ道をたどっていた。本来のその製品が持つべき基本機能を軽視していた事は、掃除機ではいやと云うほど思い知らされたはずである。

 言うまでも無い、ダイソンである。それまでモータに強い日立に引かれながらも、パナの掃除機を使っていたのだが、無精な私は紙パックが面倒で取り替えないために吸引力も落ちていた。で、当時めちゃくちゃ高かったダイソンを買ったのは、家電量販店の人が、内緒で教えてくれたからだった。その人は、メーカから派遣された人なのに、ゴミを吸う機能だけならこれですと、売り場の隅に案内してくれたのだ。私が、ごてごて機能が嫌いだと云ったのに共感したようで、すべての客に勧めていたわけでは無い。

 初期のダイソン。重い、扱いづらい、うるさくてチャイムも聞こえなかった。もはや騒音である。ゴミも紙パックが無いのはよいが、ひっかっかて取りづらかった。それでも、掃除機の命は、ゴミを吸う力。あらゆる欠点を、この基本機能が吹っ飛ばしていた。

 今回センサーまでつけて吸引力を強調しながら、それが弱いと感じさせる何かが有るのだろう。軽くするためか、充電式では無く、邪魔な電源コードにしたのが生きていないようである。大手メーカの開発では、あらゆる条件を並列においてその最小公倍数(価格無視なら最大公約数なのだろうが)をだす。たとえば、騒音を抑えるために吸引力を犠牲にするのだ。その意味で、今回の製品、本当に基本機能重視に回帰して作られたのだろうか?

2.技術過信が残っていないか

  ハウスダストのセンサー。すばらしい。私もこれに引かれた一人である。こういうのが好きなのは、日本人だけかもしれない!しかし、それが評判悪い。すでに普通の掃除機にも、昔からこの種のセンサーがついている。だから、同じ技術だと思ったのでは無いだろうか?

  素人の私には、布団掃除機のセンサーは、とてつもなく難しい技術に思えるのだ。なぜなら、固定された場所にあって固定された領域を見張るセンサーは割に簡単である。しかし掃除機は違う。常にセンサーも対象も動いている。そのどこをどの時間計測するかで全く結果は異なるはず。さらに、布団用は、これまでとは違う。床や畳のような堅さを持った平面と異なり、柔らかく曲線をえがき、さらにはしわの裏に隠れるなどセンシング対象物の変化が極端に大きい。くわえて、操作する人によって動かす早さや角度も全くちがうものである。パナ技術陣を信じてはいるが、この困難さをどれほど理解し、この技術でいくつの特許を取ったのであろうか?センサー技術は日本の宝のはず。 素人はそんな事を考えてしまった。

3.高いコスト体質

  コストを下げるために人件費をやたら削減し、製造を海外移転させたのに、それでも、いまだ日本の多くの工業製品は相対的に高い。ロケットでも潜水艦でも新幹線でも。もう、国全体でこの原因をきちんと考える時であろう。家電など、最も簡単に海外移転したのに、なぜ未だに高いのか?本当に国内の人件費とインフラコストだけの差なのだろうか?自社のブランドにするだけで原価が10%も上がるような仕組みが日本の大手メーカにはあった。もはやそれはないと信じたいが、どうも納得のいく説明にお目にかかれないのだ。金型と製造ライン構築のコストだけでも、一製品は200億以上の売り上げで無いと採算がとれないという話(うわさ?)を聞いたこともある。

  価格をそれなりにするために製品仕様で妥協する。それがいまのパナ家電の現状のような気がするのだが。大量生産からの脱却は、それはそれで良いのだが、なら、分社化しか有るまいに。



 そんなこんなで、パナの布団掃除機を買うのを迷っている。コメントに、これならダイソンの掃除機でブラシだけ変える方がましだというのがあった。私もこの人と同じように、ダイソンを使いながらなぜ、別に布団掃除機を買おうと思ったのかを、パナにはわかって欲しい。そう、ダイソンの布団用ブラシでは吸引力があり過ぎて使い物にならないのだ。ちなみに充電式ダイソンを使っている。私の使い方が悪いのかも知れないが、素人なんて取説なんか読まないものである。

 日本の家電は、ダイソンのようにも変化できず、さりとて中韓のように安くも出来ず、自滅してしまった。もう復活は夢なのだろうか?そうではないと、まだ信じているのだが。

平成28年3月23日(水)
秋山鷹志