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アメリカの衰退 本音を隠し切れなくなったのがトランプ旋風
日本の衰退   議論せず消費増税に逃げる既得権者層  

 アメリカ大統領選挙で、共和党の大統領候補としてトランプが正式に決定した。あれほど、泡沫候補、すぐ消える一時的現象とメディアやリベラルが大合唱したにもかかわらず、それらはすべて外れた。近現代史を見ても、独裁者ははじめ民主主義の中から生まれてくる事が、よくわかっていながら、その流れを押しとどめることが出来ないのはなぜなのだろうか?

 ジャーナリズムなどというきれい事を並べるメディアの多くも、政治家も高給官僚も、すべては既得権者である。一部の金持ちや特権階級などが、より裕福になる事で、国全体が潤い、国民の平均的な生活が向上する経済原理が働いているうちは、格差すらさしたる問題にならない。だが、もはや多くの経営者や富裕層は、より貪欲に国家の枠組みを無視して自分たちの利益だけを最大化することに邁進するようになっている。グローバル化とは、それを許すようなシステムや仕組みを世界中の経済体制にはめ込んだ歴史でもある。

 自分だけの利益の最大化とは、いかに他への分配を減らすかと言うことでもある。労働者の給与が安ければ、その分利益は増える。その時自国の雇用も不況さえも関係が無いのである。これまでは、それをやり過ぎると結局国内不況が自分たちに悪影響として戻ってくる環境があった。しかし、いまではそうでは無い。アメリカンドリームを歌い上げていたアメリカ帝国においてすら、いやアメリカだからこそ、この傾向は寄り強く社会に影響を及ぼしてしまったのだ。

 格差、貧困、失業などという言葉では説明しきれない大きな溝が、社会の中に深く大きく刻み込まれてしまったのである。それが、民主主義の多数決においても現れるようになった直接の原因は、中間層の没落であろう。単に貧富の差の拡大だけであれば、アメリカ全体の問題とはなりずらかったのだが、もはやその域を超えてしまったのである。何事も行きすぎれば弊害が大きくなる。貪欲さに目覚めた既得権者達は、それを無視しあらゆる理屈をつけて、自己保身と利益追求をやめようとしていない。その既得権者の一部分でもあった多くの中間層が、もはや下層の大多数と化してしまった。その大きさを既存のメディアなども見誤ったのである。いや、既得権保護のために無視したというのが正しいのかも知れない。

 トランプが本当に大統領選挙でも勝利してしまうのか、現時点では全く不明である。反トランプ勢力である既存メディアが出す世論調査など当てにはならない。そして、最も重要な事は、例え彼が負けたところで、このアメリカ社会が抱えてしまった大きな溝は何も解決されないという事実である。そして、すでにこの問題は、アメリカだけでなく、日本をはじめとする世界各国に飛び火している。しかも、先進国だけで無く発展途上国においてすら、似たような現象が生じてきている。

 経済だけが、そして一部の人間達だけが、国境を越えて自己中心的な社会を形成し始めているが、それに取り残された大多数の人間は、国境を越えないだけではなく、自国の文化への愛着を強くしてしまう。グローバル化が、ナショナリズムを強化している皮肉がここにある。かくして、イスラム文化を自分たちの文化と信じる人々は、溝を埋めるために非イスラム文化を排撃しようとしてしまうのである。

 トランプ旋風とは、アメリカがその抱える問題が大きくなりすぎて、もはや隠しきれなくなってしまった証でもある。自由や民主主義や人権などのきれい事で、本音を隠すことが出来なくなってしまったのだと言えよう。それが世界中で、独裁者色の強い指導者が人気を集めている理由でもある。


 日本においても、あり得ない民主党政権が成立してしまったこともある。トランプが当選しないとは、誰も断言できないだろう。それほどアメリカ帝国の衰弱は大きいのである。日本においてもすでに埋められないほど大きな溝が出来ている。にもかかわらずそれをメディアをはじめとするすべての既得権者は隠蔽したり、消費増税などと言うその場しのぎのきれい事で逃げている。あるいはもっとひどくて、無知なるが故に理解出来ていないのかも知れない。


 そして言うまでも無い、日本はもっとひどい状況にあることを認識すべきである。だが、相変わらず既得権者がのさばり、いたずらに創造のための破壊を拒み続けている。日本にトランプが生まれない保証はどこにも無いのだ。そうなってからでは遅いだろう。

 国民皆保険も、老人介護も、医療もすでに限界点を一部で突破してしまっている。ゆがんだ平等主義、ゆがんだ福祉思想は、結局一部の利権と化しているだけなのだ。日本人全体が、ここでもう一度社会の在り方や、どこまでが医療や福祉なのか、死と人間の尊厳など、非人道的と言われることを恐れずに議論すべき時なのだ。それを無視して、ただ消費税を上げれば事足りるかのような多くの既得権層の人間がはびこる現状は、最悪の方向に向かっているとしか言いようがない。

 きれい事を言う人間に簡単にだまされる日本人の愚かさには、つくづく愛想が尽きるのだが、それでもまだ希望は捨てていない。

平成28年7月23日(土)
秋山鷹志