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相模原大量殺人の課題

 「大麻性精神病」として措置入院の処置を受けたと言われる。「反社会性パーソナリテイ障害」という専門家もいる。「サイコパス」だという専門家もいる。単に「ゆがんだ差別的思想に洗脳されている」と騒ぎ立てるメディアは、NHKをはじめとして多い。「個人の問題では無く、こういう人物を生み出した社会の在り方が問われるべきだ」という人も相変わらずいる。


 精神の病や、人格の障害に関わる体質・気質をいくら並べてみたところで、さしたる意味は見いだせないだろう。身体的な障害のように外形的に判別しやすい訳では無い、精神的な障害。それだけに、その障害のラベルの正しさよりも、反社会的行動に移させる引き金(トリガー)は何であったのか、早期にそのような予備軍を発見した際の社会の対応はどうあるべきなのか、行動を起こされたとき被害を最小限にするために何を成すべきなのか、こういうことこそが本質の議論であろう。


 生物においては、確率論的に必ずある比率で障害を持つ個体が生まれる。人間もおなじである。このとき、目に見えない心や性格に障害を持つ個体が生まれる確率も一定の比率である。この現実を見失いがちな日本人。
 欧米などでは、高い屏を巡らし、常に監視を怠らない公共の施設は数多い。それに対して日本が遅れているのは確かなのだが、それは安全がただだと考えていたからなのであろうか?それだけではあるまい。やはりそのような反社会的な行動を実行する個体数が少なかったからでは無いだろうか?とするならば、なぜそれがいま、大きく崩れているように見えるのか?そこも検証を加えるべき点なのだろう。これは被害の最小化の課題でもある。


 社会的に問題を引き起こしかねない個体の存在を認めたとして、次には、そのすべての人が実際の反社会的行動を起こすわけでは無いという点。彼の場合、背中を押したのは「大麻」だったかも知れないし、安い金でこき使われる事への不満だったかも知れないし、本当にヒトラーの思想が降りてきたというような突発的な病気の発作だったかも知れない。差別的な思想という事ばかりをあまり取り上げて声高に叫ぶ風潮には、私は賛同出来ないでいる。理屈など誰でもいくらでも作り出す。また、極端に強調して騒ぐことは、むしろ予備軍の寝た子を起こすことにもつながりかねない。凶行の引き金を引かせた正体こそ、最も重要な検証課題であろう。

 ここで入院措置などの問題が出てくるのだが、心や気質に障害をもつ人のなかで、反社会的な行動を起こす怖れのある人を、社会はどうすれば良いのかという問題が次にある。人権を高らかにうたう欧州でも、テロリストや性犯罪者に対する人権は、かなり制限されている。日本のようにすべて同じに考えないのである。ゆがんだ平等や理想に走りやすい、そのくせ極端にも走るのだが、そんな日本社会ではどう扱うべきなのか、特定の思想信条による議論を廃して、真面目に議論されるべき事柄である。


 多くの課題を今度こそ、感情的議論や思想信条の議論で無く、冷静にかつ現実的な議論をすべきときであろう。さもなければ、今後、ますますテロなどの過激思想に染まりやすい人達の起こす事件が多発する可能性は高いだろう。

平成28年7月31日(日)
秋山鷹志