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行政くくりの課題

 地域消防、地域行政は、地域に密着している方がきめ細かい対応が可能で良いとされる。しかし、それがもはや完全に揺らいでいる。その理由は、過疎化、少子高齢化だけなのでは無く、元々の小規模自治が持っていた課題が、吹きだしてきたと言うことでもある。だからといって、交付金削減のために市町村合併を進めた政策をみとめているわけではない。あの合併に伴う名称変更の醜さ。地域の文化や伝統を破壊しただけの結果に終わったことは、すでに過去のブログで触れた。

 住民税、健康保険、介護保険なども、自治体毎に金額が違う現在の仕組みが正しいのか、今後もこれで良いのか、行政と自治のくくりの関係から、見直しが迫られている。

 くくりをつくると、それ以外を極端に排除したがる集団農耕型気質は、さらなる弊害をうみだしている。阪神淡路大震災では、応援に駆けつけた各地の消防とホースの口径が合わないと言う馬鹿げた事が起きたし、同じ自衛隊内部なのに、陸上自衛隊のヘリが海上自衛隊の艦艇にうまく乗せられないというとんでもないことまで起きている。

 くくりをきめ細かくする利点だけを強調しすぎて、大規模災害への対応が出来なかったり、水道などのインフラの使用料金が極端に上がる弊害もあちこちで起きている。地震などを原因としない普通の火災としては、20年で最大の大火となった新潟糸魚川市の大火災。人口比で用意されている消防の施設や設備では、飛び火が発生したとたん、すでに能力を超えていた。だからといって、何でも余分な準備をしておけるわけでも無い。となれば、他の地域への応援要請などと言わなくても、黙った駆けつけられる体制を作っておくことが重要であろう。

 そのような広域即応体制を作るには、まず、状況の正確な把握と迅速な伝達が不可欠となる。ITが騒がれながらも、日本ではそれが社会インフラや行政にうまく活用できているとは言いがたい。さらに、そういう専門家をどのようにして育てるのか。いい加減な大学ばかり存在したところで、社会に何の益もない。もっと実利を重視した教育体制も、基礎研究と同様に大事なのである。しかし、ノーベル賞受賞者も、その事に触れる人はほとんどいない。けっきょく、自己中はいいすぎにしても、大局を見て実践できる孤高武士型気質の人間がいなく成りすぎたのだ。

 立法や行政という地方自治のくくりの中で何でもやらないといけないとする今の考え方は、すでに時代遅れである。水道事業などでは広域化がすでにおこなわれているが、より積極的に進めていく必要がある。地方自治のきめ細やかさを残しながら、個々の事業や行政においては、より広い地域全体で見た別のくくりを持てるような根本的な改革が必要であろう。それは、今騒がれているような地方自治の権限拡大とは、全く別の物である。くくりの枠を抜け出せないまま、権限だけを与えたところで、日本中に小さな霞ヶ関が出来るだけであろう。柔軟で複合的なくくりを用意して、状況に応じたくくりを選択できなければ、想定外の自然の力の前には、今後もさまざまな問題が起きてくることだろう。

平成28年12月24日(土)
秋山鷹志