文化
第6章 新しい文明と人類の普遍文明

技術から見た新文明


 バイオ文明



 科学技術文明の持つ人類滅亡の要素は、情報文明だけでは無い。ひっよとしたら、もっと深刻なことになるかも知れないのが、バイオ文明である。
 バイオとはバイオテクノロジーの略で、他の語の上に付いて、「生命の、生物に関する」などの意味を持つ。つまりバイオ文明とは、人間をはじめとする生物から生み出される科学技術文明ということである。
 たとえば、痛くない注射器の針は、蚊に刺されても気が付かないのは、蚊の針の形状や血を吸う方法などに特徴が有るからで、それをまねて出来たのが痛くない注射器の針である。このように生物が持つさまざまな能力を解析し、それを応用したり、時には生物それ自体を変えてしまう、それがバイオ技術である。
 AIやロボット技術とバイオ技術が組み合わさって、さらに複雑で高度な技術が開発されつつある。昆虫のように小さく手も自律的に飛ぶことが出来て、どこにでも入り込める昆虫スパイなど、すでに実用段階にまで来ているものもある。

 さらにこの技術の恐ろしさは、生身の人間をサイボーグ化する技術でもある点にある。ヒョウの足に変えてしまえば、ドーピングなどしなくても、世界最速になるだろう。その行き着く先を誰も予測出来てはいない。正当な医療行為とそうで無い技術との線引きは、軍事と非軍事の境界以上に難しい。


 ゲノム文明


 ゲノムとは、分子生物学的解釈によれば、ある生物種を規定する遺伝情報全体のことであるが、ここでは広義のバイオ文明の一領域ととらえている。遺伝子情報は、それが解析されれば、その生物のすべてがわかると思われていた。だが、実際にヒトゲノム解析が終わった時、人類は全く新たな領域に足を踏み入れたのだった。
 たとえば、人間の選別はもはや夢物語で無く、現実の倫理問題となってしまった。障害や病気を持つ子供を生まないという選択、障害があっても生むという選択、そのどちらも個人の自由だとするならば、その全く180度異なる考え方を持つ人々が共に暮らせる社会を、人類は果たして用意できるのであろうか?ゲノム文明の進歩は、人類に人間の在り方とは何かという、根源的な問いを次々と投げかけてくることになるだろう。


 海洋・宇宙文明



 いずれ地球という惑星での人類生存に限界があるのだとするならば、人類は宇宙を目指すしか、その生存を保てないことになる。そのような考えも合って、人類の宇宙開発技術の進歩もとどまることはない。
 しかし、宇宙の前に、足下にある未知の世界、それが海洋であろう。海を渡る技術を手に入れた人類であるが、その海を最大限利用できるような種々の科学技術は、まだまだこれからである。この海洋の世界と情報文明技術やバイオ文明技術が重なるとき、人類は想像も出来ない新しい世界を見つけることが出来るのかも知れない。そして、何よりも良いことは、この海洋文明は、他の文明のように人類滅亡の危機感を我々に与えてはいないと言うことである。むろんどうなるか将来はわからない。それでも、かすかに残る明るい未来を持つ技術文明だと信じたい。
 世界で第6位とも言われる海洋大国が日本である。もっと、この文明の開拓に日本は力を注ぐべきであろう。それは日本だけで無く人類全体にも貢献していくだろう。