第二部 食料文明国家構想(食が作る新しい日本)

共同体の再生

― なぜ文明は人と人とのつながりを必要とするのか ―

はじめに

文明を支えるものは何でしょうか。食料。技術。経済。政治。どれも重要です。
しかし、それらを動かしているのは人間です。そして人間は、一人では生きられません
家族。地域。仲間。職場。こうした人と人とのつながりを、私たちは共同体と呼びます。
現代社会は豊かになりました。しかしその一方で、共同体は弱くなりました。
孤独。孤立。無関心。それは現代文明が抱える大きな課題です。
食料文明国家は、共同体の再生を文明再建の重要な柱と考えます。
かつての日本には、強い共同体がありました。農村共同体。町内会。商店街。祭り。消防団。青年団。
そこでは、助け合いが日常でした。しかし都市化が進み、人々の移動が増え、共同体は徐々に弱くなりました。便利になった代わりに、孤独が増えたのです。

文明の最小単位は共同体である

文明というと、国家や都市を思い浮かべます。しかし、文明はもっと小さな単位から始まります。家族です。地域です。村です。
共同体が存在しなければ、国家も文明も成立しません

文明の構造

個人
家族
共同体
地域
国家
文明
文明は共同体の上に成り立っています。

なぜ共同体は衰退したのか

理由はいくつもあります。
   都市化
   核家族化
   インターネット
   地域人口減少
   終身雇用の崩壊
です。
昔は地域の中で一生を過ごす人が多くいました。今は違います。進学。就職。転職。転居。移動が当たり前になりました。それ自体は悪いことではありません。
しかし、共同体を弱める要因になったことも事実です。

共同体衰退の流れ

都市化
人口流出
地域縮小
交流減少
孤立化
共同体衰退

孤独社会の危険性

現代日本では、一人暮らし世帯が増えています。高齢者の孤独死も増えています。
若者も例外ではありません。SNSでつながっていても、現実のつながりが弱い人は少なくありません。
人間は社会的動物です。共同体が弱くなると、精神的な不安定さも増加します。

現代社会の矛盾

通信技術発展
オンライン接続増加
対面交流減少
孤独増加

食料と共同体

共同体の起源は、実は食料にあります。
第一部でも見たように、日本以外の多くの国では、農耕は定住を生みました。定住は村を生みました。村は共同体を生みました。
つまり、文明と共同体は同時に誕生したのです。

食料文明と共同体

農耕
定住
共同体
文明
共同体は文明の副産物ではありません。文明そのものなのです。

新しい共同体とは何か

昔の共同体をそのまま復活させることはできません。時代が違います。価値観も違います。
そこで必要なのは、新しい共同体です。
例えば
   地域活動
   趣味の集まり
   ボランティア
   オンラインコミュニティ
   農業体験グループ
などです。
共同体とは、必ずしも地縁だけではありません。志を共有する人々も共同体です。

新しい共同体

地縁共同体
(地域)
志縁共同体
(目的)
新しい共同体

地方再生と共同体

地方再生の本質は、建物ではありません。道路でもありません。人です。人のつながりです。空き家を埋めても、共同体がなければ地域は続きません。
逆に、共同体が残れば、人口が減っても地域は存続できます。
地方再生の本質は 人口増加→地方再生 ではない。共同体再生→地方再生  なのです。

食料文明国家が目指す社会

食料文明国家は、孤立した個人だけの社会を目指しません。また、過度な集団主義も目指しません。個人の自由を尊重しながら、人と人とのつながりを取り戻す社会です。
共同体とは、人を縛るものではありません。支えるものです。

まとめ

文明は、食料だけで成り立つわけではありません。経済だけでもありません。
文明の土台には、人と人とのつながりがあります。
共同体が弱くなれば、文明も弱くなります。
共同体が再生すれば、文明も再生します。
食料文明国家とは、食料を守る国家であると同時に、人のつながりを守る国家でもあるのです。