烈風

海洋観光の開発B海中遊覧艇


 新しい海洋観光として、海と島しょを活用する観光を提案した。(海洋観光@「海洋観光の開発」はこちら)そのなかで、使用されるさまざまな船舶等について、前回は海洋観光母船をみた。今回は母船に乗せる海中遊覧艇である。

 海中遊覧船としてはすでに存在しており、日本でも最近は各地の水辺の観光地で利用され始めている。ただ、そのほとんどは、船の底から海の中がのぞけるタイプのものである。海の中に潜って海中を散歩するには、深海探査艇のような特殊なものになってしまう。1万メートルの深海を探検するのももちろん楽しいであろうが、ここではもっと手軽に海中散歩ができる海中遊覧艇である。遊覧船で良いのだが、母船に乗せることを原則としているので、遊覧艇と統一しておきたい。

 どのようなタイプが考えられるかと言えば、次のようなものがある。

1.自由航行型海中遊覧艇

  水深100m以下の浅瀬に潜って、ダイビングと同じような感覚で海中散歩を楽しむもの。海の生物などをみるほかにも、海底遺跡とされるものをじっくりと見学するのにも使用される。とうぜん、海中では魚のように静かに孝行できる機能が必須である。泡をたてたり、大きな音を出していては意味がない。潜ることや進むことが目的ではなく、静かに海の中の様子をみるための船である。
  人員も30〜50名程度乗れることが望ましい。

遊覧艇1

2.自由航行型深度海中遊覧艇

  海中遊覧艇で、200m位の深海に潜れるもの。深海生物の見学用なので、深く潜るために乗員数は制限されるかもしれないが、それでも10〜20名はのせたいものである。

遊覧艇2

3.海底着地型海中遊覧艇

  海中を自由に遊覧するのではなく、海底に着地して、静かに周囲を見学するためのもの。自由形の遊覧艇は母船から自由に航行できるが、この船は、母船としっかりつながれている船になる。海底にちゃくちするのであるから、当然それほど深く潜ることはない。そのぶん、居住性をよくする。いわば海底喫茶室である。

遊覧艇3

 産業との関係



 日本の造船業は、市場が小さいという理由からか、なかなか新しい船舶を開発しようとしない。もっと積極的に行うべきであろう。その中で海洋観光母船と並んで、海外へもいずれは売り込めるのがこの海洋遊覧艇である。この開発は高い技術力と製造力が要求される。だからこそ日本向きなのである。日本の潜水艦は高い評価を受けているし、深海探査艇も持っている。さらには、世界中の水族館が採用するような高い水圧に耐える透明な素材も日本の技術である。これらすでにある技術要素を組み合わせるだけでも、必ず海中遊覧艇の開発は可能である。

 問題は、コストであろうか。手軽さは乗船・下船の方法だけではなく、かかる費用の額にも依存する。いかに高い技術で安く建造できるか。腕の見せ所であろう。海洋大国でもある日本が、これまで開発してこなかったことが不思議である。失われた20年は人々のやる気、挑戦者魂までなくさせてしまったのだろうか。

 軍事との関係で言えば、無人小型潜水艇の開発は否応なく先進国で始まるであろう。いやすでに始まっているはず。四方を海に囲まれた日本の安全保障上も、不可欠の防衛設備である。原子力潜水艦を持たなくても、これらにより敵空母への対応は可能なのである。


次回は、小型飛行機と水陸両用車について見てみよう。

2015.07
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