烈風

国民情報放送局(NIB)

 防災省と情報省の新設については何度も書いてきた。その中で国民に情報を的確かつ迅速に届けるための手段のひとつとして、情報専門の国営放送局の必要性についてもふれてきた。もう一度そこの部分だけとりあげてみたい。

 テレビは情報を伝える手段として有効なものであるが、現在のテレビは視聴する側の能動的な働きかけが必要な部分もあるうえに、なかなか自分にとって有益な情報が流されないというもどかしさもある。それを解決するためには、情報とりわけ災害に関するきめの細かい情報が自動的に自分の手元に送られてくる仕組みが必要なのであろう。そこで国民情報放送局(NIB:もっとかっこいい略称が良いが)ということになる。

 大きな特徴をいくつか抜き出してみる。

 国営の放送局で情報省・防災省・総務省傘下におかれ、予算は1000億程度の国家予算とする。ちなみにNHKは、年6000億円も国民から視聴料を集めている。
 視聴料金は無料。テレビの購入は自費負担。
 原則、各家庭に一台の受信機の形をとる。むろん強制でもないし、逆に複数台でもかまわない。
 国、自治体等からの有益情報を流すのが目的なので、既存のテレビ放送とは全く異なる。したがってニュースと情報だけで、一般のドラマや娯楽番組は放映されないので、民間とも競合しない。
 専用の情報受信端末機器、要するに新しく作られるテレビを使う。
 チャンネルは、全国、地域、家庭の3チャンネルのみ。一般のテレビ放送は受信できない。
 災害非常時用の機能と情報の機密保護機能を持つ。

 このような仕組みをわざわざ新たに設ける理由は、身近な情報、各家庭にとって重要な情報をいち早く確実に届けるためである。たとえば、災害に関するNHK番組。他番組をやめて放送するのは良いのだが、一日中自分とは直接関係の無い地域の情報であふれ、当事者たちにとっては、自分がいま知りたい避難場所や、詳しい地域の災害状況などがわからないという問題がある。解決するにはいまの均一的な放送システムでは、限界がある。

全体の仕組み(システム構成)

NIB


 政府、各省庁、地方自治体等からのお知らせなどが届けられる。番組として放送されるものと、自治体などからの個別のメール形式での通知の2種類がある。
 整備されつつある日本版GPSの拡充と衛星放送、衛星通信などの機能を併せ持つ人工衛星を打ち上げて使用する。災害時の緊急放送などが邪魔されないように独自のものにする。
 また、自治体からの通知や家庭内情報なども扱うので、機密保護機能と暗号化を機能として持たせる。

 位置システム中央制御センターというのは、GPS機能を持たせたテレビ端末の位置を一元的に管理できるセンター。端末からSOSボタンが押された場合、位置情報がこのセンターに送られてくる。通常時ならそのデータは、所管の警察に送られる。災害時などは、地域全体の情報として防災省などが活用することが出来るシステムにしておく。たとえば、津波や洪水で取り残された家庭の場所がこれにより素早く正確に把握できるようになる。

情報受信端末機(テレビ受像器)

 非常用機器とか、緊急警報受信機とか色々あるのだが、そもそも平常時と非常時とで異なるものを使うことが問題を生む原因にもなる。普段、ニュースやお知らせを見ているテレビが、そのまま非常用機器になるのが望ましいだろう。

 国民情報放送局の放送や通知を受信できるテレビ受像器は、高度な機能をもつが、とにかく簡単で、何も操作をしなくてもすむようなもの。基本的には24時間つけっぱなしのテレビであるが、番組がどこまで放送されるかは、費用との関係を含めた検討課題であろう。
 大きな二つの特長がある。ひとつは24時間テレビとして自動で機能する。つまり緊急警報などは、電源が自動的に入って放送される。自治体からの避難勧告など重要なものも同様である。またメール型通知は、すべて自動受信されて自動表示される。
 もう一つが、電源である。非常時には停電も珍しくない。それが情報の遮断にもつながっている。このテレビは、最大8時間もつバッテリーを内蔵する。余分な娯楽的機能をすべてそいで、これを実現する。これによって、必要な人に情報が届けられる方法のひとつが確保される。

NIB TV


 他にも特徴としては、次のようなものがあげられる。

SOS機能
  テレビに付いた「助けてボタン」を推すと、テレビの位置情報とともにSOSが、センターに送られる。電話とか端末とか操作が難しい人でも、簡単に助けを呼ぶことができる。身体の不自由な人向けには、音声認識によるものがあっても良いのかも。たとえば、「たすけて」と3回続けると、ボタン押下と同じとか。

GPS機能
  テレビには、GPS機能が付いており、その場所がわかる。逆に子供に持たしたICカードの位置情報をこのテレビで確認することが出来る。次々と変わる携帯端末機が無くても、この機能だけでも充分有益であろう。

暗号化機能
  GPS情報の他にも、テレビは住民の区別をつける自治体発行の番号や、家族のマイナンバーが登録されるので、やりとりも含めて暗号化は必須であろう。専用チップの開発は、それほど難しいものでは無い。

データ蓄積機能
  テレビの録画機能と同様に、送られてきたメール型通知などを自動蓄積できる。テレビの番組録画機能は、無くてもかまわないであろう。ただ、災害地域の地図などが表示されたとき、画面コピーくらいはほしいかもしれない。

チャンネル毎の機能

  このテレビには、チャンネルは3つしか無い。

 全国チャンネル
  いわゆる全国放送である。全国の天気予報や災害情報の国からのお知らせや一般的なニュースが放送される。ここにはメール型通知は来ない。リコール製品や詐欺被害などの情報は、繰り返し流されることで注意喚起する。

 地域チャンネル
  住んでいる地域の情報が放送されるチャンネル。きめの細かい地域情報が流される。いまは防災無線で流されている行方不明お年寄りの情報なども、ここで顔写真付きで放送される。空き巣や不審者、痴漢情報などいまよりもきめの細かい地域に合わせた情報が流される。

  大きな災害のたびに地方自治体の対応のまずさや不備が指摘される。原因はいろいろあるが、住民が自主的に判断できる情報をもっとこまめに伝えられれば、状況も変わるのでは無いだろうか。極端にいえば、自治体が避難勧告をださなくても、注意の地域の情報を見て住民は自主的に避難するだろう。このチャンネルの重要性は計り知れない。

  地方自治体からの地域一斉メールもこのチャンネルに送られてくる。避難勧告や避難指示などの重要なものは、電源が入っていなくても自動的に受信表示される。

 家庭チャンネル
  その家庭に関わる情報が受信されるが、一斉放送は無く、すべてメール型の通知チャンネルである。
  このチャンネルには、地方自治体から送られてくる各種の通知もメールで送られてくる。家庭が登録されているので、特定の家庭に向けた通知が自動で受け取れる。納税督促も来たりして。
  さらに、家族間のGPS情報も受け取れる。子供にICカードを持たせると、学校の門をくぐったとき検知されてその情報が、ここに表示される。

  08:25 ○○君 XX小学校へ登校
  14:45 ○○君 XX小学校から下校

  子供の位置情報をこのチャンネルで地図上に表示することも出来る。
  この例は、学校でのシステムも必要であるが、このように新しいアプリケーションが考えられるので、情報文明の活用時代とも成るだろう。


 お年寄りがチャンネルを切り替えなくても必要な情報が入ってくることは、既存のテレビでは出来ない。これだけでも、相当に利用価値があるだろう。こういう使い勝手を優先して、余分な機能を一切つけないことが、なにより重要なのである。したがって、このテレビの製造にあたっては、自由な仕様追加を原則として認めない。これによりガラパゴス化しやすい製造業の意識改革も成されるであろう。



 放送局の運営とか産業との関係などについては別に取り上げたい。

平成27年9月13日(日)
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