烈風

津波探査システムの開発を急げ


 防災システムの開発をすべきだと言うことは何度も述べてきた。自然災害ははじめとするさまざまな災害から、国民の生命と財産を守ることが本質であるが、同時にそれは経済的利益や科学技術の進歩に結びつく。日本人の気質では、どうも高尚な話に経済的利益話を持ち込むのは良くないという風潮があるのだが、それはまさに物事の本質や目的をきちんと押さえたうえで、さらに複眼的な視点を持つことが出来ない単純さに依る欠点である。衣食足りて礼節を知る。食べれなければ防災も何も無いだろう。

津波1


 この図は、「津波探査システム」と呼ぶ災害対応システムのひとつに使われるシステム構成物を載せたものである。時ちょうど、日本時間の今朝(2015年9月17日)南米のチリでマグニチュード8.3の大きな地震が発生した。最大4.6mの津波がおき、太平の各国にも津波の恐れがあるという。日本では、過去に同様の津波で甚大な被害を出したことがあるが、今回も明日朝には東北などの太平洋側にかなりの津波が予想されるという。そこで急遽、このシステムについて説明しようと考えた。

 津波の予測と対策は非常に困難なものがあり、東日本大震災の甚大な被害の大元は地震よりも津波であった。忌まわしい福島第一原発の事故も、津波に対する意識が当事者たちにもっとあれば、防げていた可能性すらあるのだから。

 ごく近くで起きた津波の場合には、警報すら間に合わない恐れはあるのだが、このような津波探査システムの構築は決して無駄には成らないだろう。津波検知では無く津波探査としたのは、宇宙や深海を探るようなイメージを持ったからに過ぎない。

 図に載せた各構成機器の使われ方について見ていこう。

津波2


 このシステムの主役は無人機器である。ひとつは無人飛行機もう一つは無人調査艇である。災害監視特に津波監視の人工衛星が、上空から日本の周辺と太平洋で起きる津波に眼を光らせる。その情報と合わせて、地震発生時に地震発生場所に向けて空から無人機を飛ばし、海に無人艇を走らせて、実際の津波の状況を把握する。それらの情報を合わせて、警戒警報などの予測精度を上げていく。

 チリで発生した津波が日本に到着するまでには時間がかかるので、地震発生と同時に無人機を飛ばすことが出来れば、津波の先端をとらえられるはずである。空からだけでなく、実際の海の動きをとらえるためには無人艇が必要になる。無人艇はスピードが遅いので、岸から海上を走らせていたのでは間に合わない。そこで日本の誇る水陸両用飛行艇の出番になる。これに乗せて、津波先端近くまで飛んでから海に入れる。日本近海で発生する津波では、特にこの無人艇が役立つはずである。
 東日本大震災の教訓から、津波検知のネットを海の中に張り巡らせ始めているが、コストがかかる割には、今ひとつ効果が疑問に思える。広大な海の中のどこでおきるかわからないうえに、限られたセンサーでは波の高さを細かく正確につかめないだろう。地震発生場所に機材をいかに素早く投入するかが、これからの自然災害対策における重要な課題となるはず。

 このような津波専門のシステムが出来れば、太平洋地域の国々への国際貢献とも成る。くわえて、科学技術の進歩も図れる上に、防災システムとして輸出も可能であろう。小型の災害用人口衛星の打ち上げや、観測したデータに基づく予測システムのソフトなども、輸出可能である。そうして少しでも開発費用を回収することで、さらにシステムの改善や維持を図ることも出来る。
 防災をコストとばかり考えないで、もっと別の視点も取り入れることが、結局はさらなる防災に役立つことになる。

 明日朝の津波には間に合わないが、次までには何とかしたいものである。

平成27年9月17日(木)
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