烈風

【教育改革】相談相手のロボット


 校内を動き回るロボットは、校内安全の見回り、清掃、校内案内などを主要な機能とする。それに加えて、生徒の相談相手の一部の機能を持たせておく。つまり、生徒の顔などの認識と感情の把握である。であった生徒の顔や身体の状況をAIで判断し、相手に話しかける機能が良いだろう。そこですぐに相談に乗るのでは無く、相談ロボットや人間に相談しに行くように勧めるのだ。むろん、これらの情報は関係する担任などに伝えられるようにすべきだが、すぐに担任が声を掛けるような拙速は良くない。

 このいつもと様子が違って見える生徒を見つけるのは、本来教師の大切な役目である。だが、それが見過ごされてしまうケースがあまりにも多い。単に教師が忙しいだけでは無く、そういう繊細さを持たない教師が増えているように思える。それはさておき、ロボットがどうしてこれを見つけられるのか。IBMの人工知能ワトソンは、膨大な過去の論文から、病気の種類を早く見つけることが出来たと言うことで話題になった。同様に、日々生徒の活動や表情を膨大なデータとして蓄えて置けば、その違いを見つけることも不可能では無いだろう。見回りロボットが、常日頃校内で生徒に数多く接するのは、このためでもある。


 さて、保健室の中や校内交番から誰にも見られずに行ける相談室。そこには心理士や専門相談員などの人間も配置しておくが、それとは別に誰にも見られない形で、相談ロボットに会えるのが望ましい。相談ロボットは、専門知能を持つAIロボットで、生徒の悩みをうまく聞き出したり、相談内容に応じた対応をとる。基本は、相手が言いたいことを洗いざらいしゃべるのを黙って聞く態度であろう。死にたいとき、怒っているとき、誰か利害関係の無い人が、ひたすら聞いてくれることで、大半の事は収まるものである。

 ここで、これらロボットの人物認識機能は非常に大切な機能となる。「お名前は」などと聞く前に、○○君、○○さんとロボットから声を掛けられたら、それだけで生徒の心は落ち着くし、何より自己の存在に対する自信を持てるようになる。これが可能なのも、「学校内の生徒」という限られた人間の情報をあらかじめ持つことが出来るからである。

 もちろん人間のカウンセリングですら、なかなかうまくいかないことや、相手の気持ちに添わないことが多いのだから、ロボットには無理だと言われるかも知れない。だが、逆に生身の人間で無いからこそ、言うことを素直に聞いたり、本音を漏らす事もある。アニメのキャラクターなどの姿で、アンドロイドのような肉感を持ったロボット。その手は、人間の手と間違えるほど繊細で暖かければ、その手に優しく触れられるだけでも、悩みを持つ生徒にはうれしいだろう。

 大切な事は、ロボットへの相談内容を、安易に教師など人間が生徒に話してはならないことである。ロボットだからこそ信用して話したものが裏切られたと知ったとき、それは人間によるカウンセリング失敗より大きな痛手を相手に与えることになる。ロボット相談員との対話の後処理こそ、最も難しくかつ大切なことなのだ。


 完璧な人型ロボットにこだわりすぎるのでは無く、自動運転が段階を踏むように、ロボット技術もさまざまな分野で、段階を踏んだものを開発することが重要であり、かつ社会の役にも立つだろう。これらのロボットは、遠い将来の話では無く、すぐそこで実現可能な範囲であると信じている。

 今後個人の識別機能は、単なるセキュリテイの為の生体認証だけでは無く、無限の可能性を切り開くだろう。そこに日本が昔から取り組んできた「感性」に関わるさまざまな技術や知見を組み合わせられれば、すばらしいロボットが出来るはずである。挙動不審者などを識別することが出来るようになって来たのだから、子供が悩みを持つとか、いつもと違うという事をわかるAIは、いまでも実現できるだろう。100%でなくても良いのだ。まずは、始めよう。

 教育特区で出来る事は無限大にある。

平成29年3月30日(木)
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