ABC予想のゆくえ
望月新一京都大教授(43)が、数学分野の整数の理論「ABC予想」を証明する論文を今年8月にインターネットで公開した。もしかしたら、世界で始めてこの証明に成功したかもしれないと、イギリスの雑誌が 報じている。 と日本のニュースにあった。
日本人としては、誇らしいかぎりであるし、是非とも証明が成功していて欲しいと思う。だが、このニュースに接して、教育改革を急がなくてはと、またもや思ってしまった。
大きく理由は二つある。
一つ目は、望月教授のユニークな経歴が提示する問題である。彼は、父親の仕事の関係で、5才からアメリカで生活していた。16歳のときに米プリンストン大に飛び級で入学、19歳で同大数学科を卒業した。帰国後32才で京大教授についた天才肌である。
だが、もし彼が渡米せず日本にいたとして、同じように才能を開花させたであろうか?平凡な秀才で終わったかもしれない。途中で渡米したかも...。
教育改革でのべた、個人の才能を伸ばす仕組み、飛び級、1年ごとの学年など、日本も 早く構造改革をしなくてはならない。いまは、せっかく才能有る多くの子供を潰しているような気がして成らないのだ。
もうひとつは、これまた、日本社会の知性の問題である。こういう論文が、英語で発表しなくてはならないことについては甘んじるとして、このニュースがなぜ、本家の日本から出てこないのかと言うことである。今日のニュースはすべて、海外からの報道により始めてこの偉業に気づいて書いているように見える。
日本国内のマスコミでも学術会議でも、およそ、新しい科学ニュースを流すことがほとんど無い。日本人の成果すらわからないのでは、情けなさ過ぎる。科学の分かる記者がいない現実を思い知らされる。
この意味からも、日本のあらゆる情報を収集、判断出来る情報省の新設も又急がれるであろう。それは、日本の教育改革にもつながる。
証明が本当に正しいかどうか、これから世界中の数学者が検証する。結果はかなり先になるらしい。何年後か、楽しみに待ちたい。そのころには、日本の教育改革も始まっていて欲しいのだが。
2012.09.19