烈風

 「ルーマニア日本人女子大生事件」
のネトコミ


 ルーマニアで日本人女子大生が、殺害された事件。ゴシップ大歓迎のワイドショーがなぜか、ほとんど取り上げない。想像をたくましくする理由は、ネット上にあふれている。

 ここでは、ネトコミ(ネット・マスコミ)の功罪から、良い面を抜き出してみたい。実は、ネトコミの書き込みの中に、私もまったく同じことを考えた指摘があったのだ。

 それは、この被害者が、ルーマニアへの渡航の前に、たった一人で目的地まで、現地の最終列車で3時間も旅をしなくてはならない不安を、何度もネット上で語っていたという事実についてである。吐き気がするほど不安だと述べている彼女の思いは、不幸なほうに的中してしまった。

 もしも、この事実がネット上で明らかになっていなかったならば、どうなっていたのか。いい加減という限度を越えた非常識な斡旋、(どこの世界に若い女性ひとりで夜の空港に到着させ、さらに真夜中の一人旅をさせる馬鹿がいるか)をしたNPOアイセック・ジャパンが、すべてを被害者の責任に押し付けていた可能性もあるという意味である。

 実際、いまだこのNPOは一切の謝罪はおろか、会見もしていないようだ。

 ネットは、様々な悪意に満ちた、偽の情報などであふれかえっている。その事実を否定はしないし、それでいいなどとは思ってもいない。だが、このように、もしかしたら闇に葬られたかもしれない真実を、ネットが明らかにした。そのことは重い。
 そして、マスコミから評判の悪いネトコミにも、このようなするどく、正しい指摘も時には見受けられるのである。そこには、健全な市民の意見の反映がある。

 この世に100%よいものも、100%悪いものも、およそ存在しない。我々は、これからこのネットの持つ良い点を、どのようにして守り育てていくのか、その視点が大事になる。


 何十年も前に、初めてインターネットを知ったとき、これが普及したら世界が変わると直感した。だからこそ会社にISP事業立ち上げを具申して、苦労しながらビジネスを始めた。事業を展開しながら、次に考えたのは、このネットは、どこかでもう一段脱皮するときが来る、いや必要だと。その思いは、いま、さらに強くなっている。

2012.08.23
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