烈風

日本改革素案


 東日本大震災が起きる以前に書いたものなので、本来震災復興などを考えて書き換えられるべきなのかもしれない。だがもともと、根本的な変革、革命が必要との思いで書いている。震災によらず根本的な破壊からの創造を前提にしているので、内容にほとんど手を加える必要がないと考えた。

日本の改革(革命)と言うからには、その全体像なりを示さねばならないだろう。

 「破壊と創造」というのは、むろん今の日本の置かれた危機的な状況からして、単に改善や修正ではすまないとの認識に他ならない。戦後の繁栄を築いてきた社会制度や法律、さらには、意識や価値観までも変えなければならない。すなわち破壊が必要である。そのうえで、焼け跡から立ち上がったように、もう一度、新たなる枠組みの中で努力をしていく。まさに革命である。武力的な流血はなくとも、一時的な混乱や困難、汗を流す覚悟と努力が必要である。


 基本となる社会の考え方としては、自律・自尊の社会、その基礎要素としての柔軟性や調和についてはすでに述べた。「自律・自尊の社会とは」「柔軟性のある社会」等。

 具体的な話に入ろう。

 これまでの全てのしがらみや既得権を壊すことと、新しい社会の枠組みを創造する事は同時に行われなくてはならない。既存の体制や仕組みを変えることなく、いかに莫大な金をつぎ込んだところで、何も変わらない事は、すでにこの20年もの間、借金をしてまで金をばらまいてきたのに、いっこうに良くならない現実が端的に証明している。金をつぎ込んできたからこの状態を保てたのだという、一部の無責任な論は、所詮歴史を無視し、自己保身しか考えていないのだと断言できる。


 新しい制度や枠組みをつくるには、当然、政治が各種の法律改正を行わなくてはならない。ここで、民主主義というやっかいな体制が道を阻む。独裁者なら、一存で行うことができても、民主主義ではそうはいかない。
 となれば、まずはまともな政治家を選ぶところから始めるしかない。既存の枠から抜け出せない全ての政治家を排し、新しい未来を目指すために一身を投げ出す覚悟を持った政治家を。この実現の為には、政治クーデターに匹敵する国民運動が必要なのかもしれない。目覚めよ、日本国民。



 新しい社会における企業の形として、このような検証を担当する企業群を新たにつくる必要があると考えている。これも詳しくは別にしよう。なぜなら、これは、これまでの社会における企業、会社のあり方を根本から考え治すものであるから。


 いずれにせよ、新たな企業や商品開発のために国民が投資をする、そういう場をつくるべきである。そのためには、これまでのような、いい加減で、結果も何も問わないような補助金の類では、全く話にならないのである。こんなひとつのことでも、まったく新しい仕掛けが必要になってくる。


 次に、何をどうするのか。個々の詳細は別として、流れだけ述べたい。

 まず、国の借金を始末しなくてはならない。理由は、そうしないと、新たな資金を調達できないからである。焼け跡になってしまったのならいざ知らず、現在の繁栄をできる限り維持しながら、社会制度や仕組みを変えるには、やはり初期投資の資金が必要となる。1000兆円を超えようというばかげた借金がなければ、新たに借金をすることに何も問題はなかったのだ。20年以上どぶに捨てられた、現状維持という名のバラマキを、国民は反省しなくてはならない。
  http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/007.htm
  財務省「債務残高の国際比較(対GDP比)

 この借金を今の世代が返すには、相当な国民の覚悟がいる。増税という形だけではすまないだろう。これについては、また別に述べよう。「国の借金は40歳以上が返済せよ」と言うのが意見である。次世代にツケを回してはならない。


 借金の重荷がなくなるとすれば、変革の為の国債を発行して、100兆円の改革資金を得ることは可能である。年次予算とは別に、この100兆円を破壊と創造に投資する。まちがっても、既存の体制温存に使用してはならない。そのために、大方のこの手の要求に冷徹な断を下せる、大局的な判断ができるサムライが必要になる。
 この国債は、通常の国債よりも利率を少しあげる。その条件として、満期が来なくても、いつでも無条件に償還、返済できる事にしておく。過去の借金とまぜることなく速やかに返済するのだ。


 日本のGDPは、2011年で507兆円(2012年予想で517兆円)である。100兆円で全てをまかなうことは、当然できない。これはあくまでも、新しい仕組みが動き出すための呼び水である。


 もうひとつ、企業が資金を調達するために、社債の発行を促す。むろん、既存の社債とは異なるものである。これまでの社債は、きちんとした会社の信用に基づいて発行されていた。これでは、一部の大手企業しか発行できない。そこで、ベンチャーでも、中小企業でも発行できる社債を考える。それは、いわば、プロジェクト債とでも呼ぶものである。
 なにか、新しい製品の開発や、サービスの提供、その具体的なものに投資をしてもらうのである。これから、こういうものを新しく開発しますが、ついてはその資金として、これだけ必要です。成功したら、これだけの利子で返済できる見通しがあります。それに投資してください、と。会社ではなく、個々の事業や製品そのものに投資してもらうのだ。とうぜん、リスクも高くなる。それを承知で、国民が、国の将来や社会のために、そしてそれは今の自分たちの家族の為にもなるのだと、考えて欲しい。

 本来であれば、株式公開なのだが、そんなのんびりとした事は行っておられない。リスクを国民が分かち合って、新しい社会を作り上げる必要がある。新しい事業や製品開発の為に融資するのが銀行本来の仕事である。だが、いまや、大手銀行は、その社会的責務を果たしているとはとうてい言えない。今度こそ、こういうものに積極的な投資をして欲しいもので有る。プロジェクト債をまとめてリスクを軽減した上で、それを小口で売る位の当たり前の仕事をやって欲しいものだ。

 もちろん、そこでは情報開示、その情報の信憑性に対する検証が非常に重要な課題になる。
 新しい社会における企業の形として、このような検証・監視を担当する企業群を新たにつくる必要があると考えている。これも詳しくは別にしよう。なぜなら、これは、これまでの社会における企業、会社のあり方を根本から考え治すものであるから。


 いずれにせよ、新たな企業や商品開発のために国民が投資をする、そういう場をつくるべきである。そのためには、これまでのような、いい加減で、結果も何も問わないような補助金の類では、全く話にならないのである。こんなひとつのことでも、まったく新しい仕掛けが必要になってくる。


 さて、こうして最低でも100兆の資金を得て、破壊と創造をすることになる。この100兆をいかなる分野に投資するのか、それが次の課題になる。ここでは、まさに、百花繚乱の様々な意見があろうが、私見に基づいて私案を述べてみたい。

 改革の為に資金が使われるべき分野

  国民の生存に関わるもの
   農業・漁業・林業等第一次産業の構造改革と食糧安保 5兆円
   防衛・安全保障                    7兆円
   国土・自然環境保護                 1兆円
  国民(人間)に関わるもの
   医療・介護・社会保障改革と移行期費用        10兆円
   文化・教育(スポーツ等も)改革と文化の輸出      5兆円
  新しい社会、国の創造に関わるもの
   海洋国家としての国作りと新産業創出          32兆円
   社会制度改革(企業のあり方から少子まで)      10兆円
   宇宙・環境・エネルギー・バイオ等の新技術開発    10兆円
資源開発                       3兆円
  新しい社会へのスムーズな移行に関わるもの
   首都バックアップ・インフラ更新、ネット結合国土   10兆円
   システム化(国民番号等)               2兆円
除染等原発事故対応                  1兆円
   変革に伴う一時的困窮、社会的弱者の救済および予備   4兆円

 総花的なつもりはなく、相互に関連するものを、目的別に括ってみたに過ぎない。全体が有機的に結合され、重層的に実施されてこそ、まったく新しい社会を創造することができる。乱暴な言い方をすれば、各項目の数字はどうでもよくて、何をしようとするのかが問題なのである。
 この資金を使って、3年で社会の構造を変えてしまう。そこから、新しい成長と心の豊かな社会を30年くらいかかって作り上げることになろう。新しい国が生まれれば、100年くらいはそのまま持つだろう。

 ここでは、基本的な考え方を述べたものであり、詳細は個別の説明に譲りたい。いずれにせよ、現状と決別できるリーダーが出現しない限り、あるいは政治クーデターでも起きない限り、この破壊的創造の実現は難しいだろう。

2012.05 改
秋山鷹志