烈風

情報省の役割:情報開示権限


 新設する情報省には様々な役割があると述べてきたが、そのひとつをここでもう少し詳しく取り上げてみたい。それは、情報大臣による情報開示命令権である。

 具体的な事例でいえば、今問題となっている東京電力が、福島第一原発事故時に官邸との間でやりとりしたテレビ会議システムのビデオや、大津市の中学生自殺事件における、市の教育委員会、学校が公表を拒んだり,勝手に廃棄したとされるアンケート結果などがあげられる。

 この行政命令の目的は、当然、公共の福祉と社会正義の増進に寄与すると考えられる情報の公開である。つまり、それが、社会の公正さを保つ上での社会正義や公共の福祉に寄与するとするならば、当該の情報を開示させることが出来るようにするのである。

 むろん、要求者をどのように限定し、どう認定するか。公開させる情報の範囲を同決めるか、又誰に向かって公開させるか、国家機密、企業機密などの機密性との関係をどう判断するか,など課題は多い。それでも、このような情報公開の伝家の宝刀を情報省が持つ事は、それなりの意味があろう。

 要求者は当然、直接の利害関係者に限られねばならないし、その要求が妥当かどうかは、情報省の第三者委員会である諮問委員会がまず判断して情報大臣に答申する。とにかく、迅速さが重要なので、要求から72時間以内の決定が成されなければならない。マスコミが、何でも情報を要求できるようなことに、なってはならないので、この要求者要件は、かなり厳密にならざるを得ないだろう。

 また、行政命令なので、公開側は不服であれば裁判所に申し立てが出来る。

 公開内容を決定したところで、今度はそれを誰に公開するかも決めねばならない。社会全体に対してか、特定の当事者にのみか、これも難しい決定になる。

 そんなにしてまで、現状の様々な機関(警察とか裁判所など)が持つ情報開示の権限に上乗せで、情報大臣によるものが必要なのであろうか?ひとつは、既存の機関の情報開示要求の不備を埋めること、その公開範囲があまりに狭い場合に、それを公共の福祉と正義の観点から判断する余地を作っておきたい事による。

 秘守義務などから自らは公開できなくても、命令があれば積極的に公開したい場合もあろう。これもまた、社会の柔軟性を確保する手段のひとつである。

2012.07
秋山鷹志