烈風

超小型車の新しい姿


 1〜2人乗りの超小型車の開発と国土交通省の法整備が話題になっている。現在の軽自動車より もさらにコンパクトな超小型車である。時速60kmが最高時速(予定)の特定用途に使用される コンセプトの車となる。

 都市部での宅配、子供の送迎などが利用例としてあげられているが、もう少しちがった利用法が できるものも開発してほしいと考えている。それは、少しくらいの階段なら走れて、細い山道のよ うな坂道を走れる車である。

 日本では平野部が少なく、多くはすぐ山になるような地形のところに住んでいる。坂道などで、 山間部での暮らしは、高齢者にとってさらに困難なものになっている。また、階段を上って住宅地 にたどり着くような住宅地も多い。このような場所でも走ることができる超小型車は開発できない ものだろうか。
 階段や、坂道でも走れるとなると、今のようなタイヤではなく、新しいタイヤも必要になるし、 なにより、超小型車でも坂を上れる馬力が重要になる。速度よりは他の機能が重視されるくるまと なるので、同じ超小型車でも、都市部用とはまったく異なるものになるかもしれない。しかし、こ の手の車の開発は、様々な技術の応用分野の可能性も広がるはずである。

 また、この車があれば、東日本大震災で問題となっている高台への移住問題にも、少なからず良 い影響を与えられる。海に近いところでないと仕事がしづらい漁業関係者は、高台への移住にはた めらいも多い。
 海に近いところにしごと場を作り、高台に住居を構えた場合、通勤の足が問題となる。いまの軽 自動車では、住居としごと場との間の道は、どうしても限定されてしまう。それが、新しい超小型車ならば、かなり融通の利くものになる。極端にいえば、誰でも自由に乗り降りできる乗り捨て運用もできるであろう。津波の時には、いち早く高台に逃れる有効な手段ともなりえる。

   開発費がかかるので、積極的になれない、単価が安いので儲からない、など大手自動車会社が、超小型車には必ずしも乗り気ではないという話もある。しかし、需要があるところに、利益を生む製品を供給できないのは、メーカの力不足以外の何物でもない、というのは言いすぎであろうか。

 新しいものに挑戦する気概と開発力を失った、日本企業の奮起を期待したい。

2012.07
秋山鷹志