烈風

防衛改革−2


■自衛隊の装備

 自衛隊の装備として、日本の技術力も活かせるものが考えられるだろう。無人と小型化が、キーワードになる。
  ミサイル艦隊
  無人機空母
  ロボット兵器
  宇宙兵器
  レーザー兵器
  海洋センサー
  衛星監視
  防諜兵器
  通信・センシングかくらん兵器
  サイバー・システム
  テロ対策機器
  情報戦機器
  無人機:航空機、潜水艦、海上偵察機、深海探査機、諸島防衛機、海峡監視潜水艇


■自衛隊の新装備

 新しく開発の主力とすべきは、無人機とミサイル艦隊であろう。空母は、有人飛行機ではなく、無人機の空母にするのが日本には向いている。他国と全面的な艦隊交戦をすることは可能性が低いので、無人空母で十分だし、むしろそのほうが海洋大国むきでもある。

☆ミサイル

 日本も核武装かそうでないか、というような古い議論にとらわれずに、より最新の兵器に関心を向けるべきであろう。そのなかで、日本独自でも開発できるものがかなりあると考える。ミサイル防衛では、すでにアメリカと共同でのミサイル開発を行っているが、共同開発、独自開発のバランスの取れた戦略が必要である。

 アメリカは核弾頭を積んだミサイルでなくても、これまでとは異なる性能を持ったミサイルの開発を進めているという。コンベンショナル・ストライク・ミサイル」、略称「CSM」と呼ばれる非核攻撃ミサイル。
 極超音速グライダー弾頭(HGV)は、非核弾頭のCSM(Conventional Strike Missile)というミサイルで、マッハ23というスピードで目標をピンポイントで破壊する。民生用ロケットを使って大気圏外から再突入するんじゃなくて、低い軌道で飛んで行く。これによって従来の弾道ミサイルよりはるかに早く敵を叩くことができ、地球半周に近い16770kmさきの目標まで、大陸間弾道弾なら76分かかるところ、HGVは52分で到達する。

 日本では、小型で運用の楽なミサイルを多種活用する必要があろう。むろん、ミサイルは、そのものより探知や誘導システムが、その鍵を握るのはいうまでもない。この分野の能力を飛躍的にたかめることは、日本の今後の防衛の要になるだろう。優秀な人材を民間も含めて、幅広く結集すべきである。


☆ミサイル艦隊

 ミサイル艦隊が、他の選択よりも良いと考える理由はいくつかある。その最大の理由は、今後は領土だけではなく、領海をめぐる争いとなる。特に日本は、世界第6位の広大な海洋をもつ海洋大国であり、その安全と防衛には、艦隊の充実が不可欠である。固定のミサイル基地は敵からの目標になりやすく、また国土が狭い日本にはあまり向いていない。
 また、造船技術は日本の得意分野であった。もう一度、発想をかえて新しい船舶を開発していくことは、造船産業の将来にもつながっていく。

 ミサイル艦隊の艦艇には、どのようなものが含まれるのであろうか。詳細は、軍事オタクなどにお任せしよう。ここでは、大まかな戦闘艦の区別を述べてみたい。

 搭載するミサイルの射程距離によって、大きくわかれる。
(現存のミサイル艦区分とはまったく別もの)
  ◎駆逐艦型
    近距離の敵を攻撃できるミサイルを搭載。射程300キロ以内のミサイルを搭載。
    対艦、対空、対潜、対地、対ミサイルなどの主要目標で分かれるであろう。
    むろん、他目標用も装備はするが、主装備でないという意味である。
  ◎巡洋艦型
    日本の排他的経済水域のいかなる場所にいる敵艦も、攻撃できるミサイルを搭載。
    射程1500キロ程度。
    尖閣諸島の領海を侵犯した敵に、沖縄本土近辺からでも十分撃退できる性能を
    持った艦艇。
    南鳥島などの遠くの離島にも、十分目配せができることをわからせる効果がある。
  ◎戦艦型
    敵のミサイル基地を日本の領海内から攻撃できるミサイルを搭載。
    射程5000キロ以上。
    動くミサイル基地の役割を持つことで、領土攻撃の可能性を軽減させる役割も
    はたせることになる。
    戦艦という名称から時代遅れに見えるかもしれないが、核を装備したICBMを
    積んで、どこかに潜んでいる原潜と同じ役割なのである。核を持たない日本に
    おいては、原潜よりもどこにいるかすぐにはわからない程度でも、戦艦のほうが
    向いている。
    小型化したミサイルを大量に積んでいる戦艦の抑止力は、それなりのものがある。
  ◎超高速艦
    時速100ノットの高速艇で、各種用途により区分される。
    射程数十キロのミサイル、上陸用、運搬用等。


 ミサイル艦隊で重要なのは、ミサイル艦の性能もさることながら、敵の探知と艦隊(ミサイル服務)誘導の能力である。レーダーなどの敵探知は、衛星から地上のレーダーサイトにいたるまで高性能で大規模なシステムが必要になるだろう。ここでは触れないでおくが、これからの探知システムは、インターネット同様に柔軟なものでなくてはならないだろう。レーダーサイトが破壊されたら機能をすべて失うようではまずい。その意味でも、洋上に自由に展開できているのは、望ましい形である。

☆超高速艇

 自衛隊のはやぶさ型ミサイル艇の最高速度は、44ノットとされている。超高速ミサイル艇は、最高速度が100ノットを越える、まったく新しい艦艇である。日本の高度な造船技術で、是非とも開発してほしい。このような超高速艇は、沿岸警備などの需要増加によって、今後開発が盛んになるだろう。いち早い対応が望まれる。  超高速艇の開発には、大馬力の小型エンジンの技術開発が必要になる。ミサイル開発とも連動した形で、推進機器の開発を、国家プロジェクトで行うべきである。どうじに、これまでの船の形にとらわれず、まったく新しい水上走行をする船の形を考えるべきであろう。

☆超高速艦用飛行艇

 この超高速艇の、飛行艇による運搬についても検討しておくべきである。技術的にこれを克服できるならば、諸島防衛の方法が根本から変革される。水上艇の技術は、かろうじて日本に残っている航空機技術でもある。広範な海域をカバーするのに十分なほど大量の艦艇を、準備する財源は今の日本にない。飛行艇は高価でも、価値はある。そして、この技術は間違いなく、海洋観光での民生利用へと進んでいく。国内限定であれば(輸出しない)、同時進行も可能であろう。そうすれば、開発費も回収できる。

   レーダーに映っていないので安心していたら、突然高速ミサイル護衛艦が出現。これなら、敵も驚くであろう。抑止力の威力も大きい。こうなると、水上機母艦までほしくなるが、そこまでの必要性はあるまい。ようは、超高速艇以上の速度をもつ飛行艇であればよいのだ。

☆無人航空機

 軍事用航空機の無人化は、世界中で急速に進んでいる。アメリカではすでに、数だけなら無人機が有人機を上回るともいう。残念ながら日本では、この分野の動きは非常に鈍い。新規開発の予算がほとんどない自衛隊の現状では、仕方がない面もあろうが、このままでは非常にまずい。アメリカは、すでに無人機の商用化の予定まで発表している。防衛上だけではなく、産業のうえでも立ち遅れは否めない。中小企業を含めた産業界も、軍事用も民生用もない技術分野への積極的な投資をすべきで、怠れば、技術的優位どころか、置いてきぼりになる。

 アメリカ空軍の無人超音速機「X51Aウェーブライダー」は、3回目のテスト飛行にも失敗して、いまだ開発中の兵器である。マッハ6(時速約7300キロ)で、世界中のどこにでも1時間で到達できる。軍事兵器も、まったく新しい概念に基づく時代に入ろうとしているのは確かである。遅れてはならない。

 軍事用無人機も様々な種類がある。超々高速攻撃機から、低空偵察機まで、用途と性能で多種にわたる。そのすべてを開発する力は日本にはあるまい。また、その必要もないであろう。

 日本に必要なのは、軍事用では主にミサイルのための偵察機と攻撃機ということになろうか。ここでの攻撃機とは、無論、空母艦載機である。

 無人機は、日本では防災用の活用が考えられる。そのためにも、加熱する世界の開発競争に負けてはならない。

☆無人機空母

 航空母艦での本格的な戦闘を経験している国は、世界中で日本を含めてごくわずかである。空母艦載機の威力を世界に知らしめたのも日本であった。だが、もはや、有人機によるこれまでの航空母艦は、その役割の半分は終えたのであろう。半分という意味は、アメリカのように敵地攻撃をするのであれば、いまだに有効かもしれないが、日本のように防衛にしか使わない国にとっては、これまでの空母はもはや無用の長物である。

 広い飛行甲板をもち速度の遅い空母は、それだけで時代遅れである。さらに、厳しい訓練を継続的に行うパイロットを抱え、護衛の艦船を多数持たなくてはならない空母部隊は、究極の金食い虫でもある。

 無人機空母は、これまでの常識にとらわれない船の形をとることで、ステルス性と高速性を持たせることが可能になる。その気になれば、数十メートル程度の潜水も可能にできよう。

 アニメさながらに、平べったい飛行甲板のハッチが大きく開き、そこから無人偵察機が垂直に上昇し、音もなく飛び去っていく。その偵察情報をミサイル艦隊と共有しながら、次の行動に移ってゆく。
 領海を侵犯しはじめた敵艦隊の上空に現れた無人機。それとわかる形で、無人機が飛来したことは、すでにミサイルの標準がロックされたことを意味する。もどるか、進んでミサイル攻撃を受けるか。選択は他にない。あわてて、空母から艦載機を発進させたのだが、攻撃目標すら定まらない。そのはるか上空の亜空域で待ち構えていた無人攻撃機は、ミサイルのような急速降下をして、敵戦闘機に襲い掛かる。一撃離脱は日本のお家芸でもある。 (ちょっと、漫画色が強すぎたかも)

 このような防衛のパターンを開示しておくことも、抑止力としての意味がある。日本の領海や領空を侵犯した敵に、日本の無人偵察機が姿を見せたとき、それはすでにミサイルロックの時だということを、事前の訓練などで世界に広めておく。防衛の新しい姿ではないだろうか。


   新しい空母ならば、これまでのように最低でも3隻が必要とか、艦隊で行動しなくてはならないとか、様々な制約もなくなり運用費用も安くて済む。あとは、開発できるかどうか、日本の真の技術力がためされる。

☆ミサイル艦隊数

 ミサイル艦隊としたので、1艦隊の構成は、最大何艦隊、などと聞かれそうであるが、そんな古い艦隊思想にはとらわれるべきでないと考えている。状況に応じて、適切な艦隊構成がとれるような柔軟性こそ、新しい軍備である。実際、日本のように細長く海域も広い国では、地域で艦隊を準備したらいくら予算があっても間に合わないであろう。それよりは、空母3隻と戦艦3隻を中心にして柔軟な艦隊構成をとらせるほうが良いであろう。また、戦艦はどこにいるかわからないほうが抑止力になるので、大部隊でないほうがかえってよいだろう。

 駆逐艦型と超高速艇が、紛争関連地域(海域)に常駐する。それをバックアップする形で、どこかに艦隊がいる。それでよいのだ。

☆その他の新装備

・多くの島々からなる日本では、国境に位置する諸島の数も段違いに多い。このすべてに無人のセンサー機能を設置していく必要がある。それらを統合して、前線広域探知機構(フロント・センサー・ベース・システム)とでも呼ぶシステムを構築する必要がある。
・動的複合検知システムを整備すべき。
  固定的なレーダサイトだけでも、イージス艦などのレーダ網だけでもない、
  より複雑で動的なシステム。
・海底、深海用特殊船舶。
・諸島の周辺の海底とか、海峡の海底に設置する無人探知システム。



■その他の自衛隊改革

☆3軍のありかた
・すでに実践されてはいるが、これまでの陸海空3軍の区分がなくなっている。ほかにも、サイバー空間、宇宙空間、亜空間(高高度空域)、海中、海底など防衛対象の対象は拡大するばかりである。これらに最適に目をくばりながら、柔軟な対応ができる体制が必要になる。
・放射能、パンデミック、ゲノムなど今後新しいテロや大規模災害が予想される。それらに対処できる特殊防護隊 を他の先進国や、専門家などと協力して整備しておく必要がある。
 −インフラ攻撃(原発破壊、水源の汚染攻撃、ダム破壊、等々)
 −通信網攻撃
 −都市攻撃(治安破壊、市民の不安をあおる等)
 −反日教育、マスコミ操作
 −放射性物質テロ
 −化学・生物テロ(パンデミック細菌、ウイルス、毒ガス等)
 −衛星攻撃 etc


☆予備軍
・徴兵制はとらない。かわりに、予備軍の充実を行う。予備軍、退役軍人、2次軍。 ・体力、学歴重視から、頭脳、技量重視の人材も大幅に拡充する。

☆予算
・防衛においては多くの問題があるが、大枠の問題としては、単年度予算の弊害と諸外国  と比べて極単に少ない開発予算の問題がある。 ・単年度予算は、憲法86条の単年度主義がからむ。

☆法規・規約
・アメリカの交戦規定では、自分の判断が最終決定。自己防衛優先。自衛隊はどうか? ・過去に政治が発したおろかな宣言は、一度すべて白紙に戻すべきである。

☆日米安保の即時改定。将来の廃止をも念頭に置いて、対等な関係に直すべき時期がきて  いる。でも50年はかかるかも。10年以内に沖縄の米軍基地の大幅返還を実現すべき。  アメリカが本気で拒むなら、日米安保の即時廃止もやむを得ないであろう。日本人は、  同胞の犠牲の上に虚構の繁栄を築くべきではないのだ。豚小屋の中だけの自由など、  真の自由ではない。

☆3海峡の領海を3海里から通常の12海里にもどす。核3原則の関係から、こんな  ばかげたことになってしまっている。
 


■仮想敵国・友好国

・軍事同盟のあり方の研究が必要になる。また各国との付き合い方を決める必要がある。そこで、各国を評価する基準がいるだろう。
  −同じ価値観。民主主義、自由経済。
  −文化相互主義。外交的相互主義。
  −反日的教育などの日本への対応、態度。
  −仮想敵国。領土問題を抱える国。領土的野心を持つ国。
  −軍事同盟の可能性とその範囲。武器の共同開発、相互不可侵等。
  −核兵器保持、軍備状況と日本への脅威度。
  −政局、政治の安定性。
  −国民の意識。
  −宗教的意識。
  −歴史的関係。好日度。


 防衛上、仮想敵国を考えるのは当然であるが、今の世界情勢においては、国家としての仮想敵国だけではすまない状況にある。むしろ、特定の組織や集団による紛争やテロ、偶発的事故のほうも可能性が高い。それでも、日本の現状は、歴史的な経緯や、地政学的な位置から周辺に敵対的な国々を数多く抱えている。

 しかし、それらの国々との全面戦争を考えることは、日本の国力や軍備からは無理な話である。となると、核による軍事的抑止力に頼るしか方法はないのであろうか?そうでもあるまい。
 ひとつは、通常兵器での互角にわたる軍備力の保持とアメリカとの軍事同盟である。もうひとつは、有事の際 核兵器を他国から借りることである。それは、欧州などではすでに行われている方法である。

 真に独立した国家となるには、アメリカとの軍事同盟に頼ってばかりもいられないのも事実である。核武装の まえに、まずは、日本の敵対国はどこがあり、どのような状況なのかを冷静かつ的確に把握しておく必要がある。

 情報省とも協力して、この敵対的国家・組織の情報を常に収集していかなければならない。

 −対日敵対国(日本を仮想敵国としている、日本にミサイル照準を合わせている国等)
 −反日国、組織(反日思想教育、反日的刷り込みをしている社会、日本の発展を阻害
  したいと考える等)
 −日本の安保上の関心国(食料、エネルギー、資源、輸送経路関係国等)


 これらを敵対度数や装備、紛争時の軍事能力、外交政治力で指数化しておくべき。

 同時に、協力してお互いの安全保障上の行動が取れる国や組織も、把握しておく必要がある。どこまでの協力がお互いに可能なのか、そのメリット・デメリットはなにか、基本の把握が重要になる。

 防衛は情報の把握から始まる。

2012.09
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