烈風

産業構造改革:
延長線上にある新規産業


 政府は、成長戦略として3つの重点分野を決めた。エネルギー、医療・福祉、農林漁業である。これ自体には異論はない。だがこれまでも、7分野とか、特別重点とかいろいろ言われてきたが、社会は何も変わっていない。なぜなのか?言葉とは裏腹に、実態は、現状を何ら変えようとする政策なり法律改正なり、規制緩和・規制などの実態はまったく何も変わっていないからである。まさに、既得権者と自己保身のために、金をどぶに捨てているのだ。

 批判はさておき、まったく新しい産業を興すにしても、これまでの日本の産業界がもつ強みを活かした分野での、新しい方向性、新産業はかなりある。なぜ、そのような具体的なものに、投資がなされないのだろうか。理由は大きく二つある。ひとつは、経営者も官僚もリスクを負って新しいことに挑戦する覚悟が、まったくなくなっていること。もうひとつは、国の予算、とりわけこのような産業振興の補助金等の使われ方である。各省庁がぶんどり、さらにその中の各課や担当が分け、それを自分が影響力を行使する、行使したい産業の大手企業に案を出させて、それにいちいち金額をつけて渡す。企業は、名目にある形をとるだけで、実際にはまったくやろうとしない。年度末には、結果の体裁をとるレポートが出されておしまい。だれも、チェックすらしない。大臣にいたっては、同じ人間ですらないことも多いし、見ても内容すら理解できていない。これが現実の姿である。

 それでも、もう一度日本の産業を再興したいと考えている人もいると信じて、新しい分野について述べてみたい。その特徴は、これまでの産業や技術力の延長線上、もしくは近い分野での新産業であること、そして、内需のための産業であること。また、これからの産業は、これまでのように特定の分野に明確に区分されるようなものはむろん、様々な分野に関係する分野の産業が増えてくるであろう。
 おもいつくままに、いくつかあげてみよう。

・蓄電池
・造船
・文化
・再生医療
・薬
・医療機器
・素材
・データベース
・無人航空機
・ロボット
・小型エンジン
・洋上発電装置
・インフラ保守
・防災システム
・防災機器
・測定器(位置、放射能等)
・センサー
・教育
・ミサイル
・宇宙開発
・福祉

 これらは、すでに産業として、それなりに活動を見せている分野がほとんどである。にもかかわらず、日本の成長を支える産業に大きく育っているようには見えない。そこにこそ、日本の産業構造の問題がある。それぞれの分野をより深く掘り下げてみれば、大きな成長の種は埋まっているのだが。常識を変える新しい発想が求められている。
 たとえば、蓄電池といえば、すぐ自動車ばかりを持ち出すが、もっと大きな技術革新によって、南鳥島で洋上発電された電気を、洋上基地においた蓄電池にためていく。それを、時々取りに行って、持ち帰って使用する。その船も余分な燃料を必要としない電気船、自然エネルギーで動く船にする。こういう、大きな発想がほしい。

 上記以外にも、まだまだたくさんある。みようとしない、やろうとしていないだけなのだ。

2012.08
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