PSYCHOLOGY & BRAIN SCIENCE 09

なぜタレントや有名人が政治家になるのか

著名人の立候補と、有権者の投票心理を読み解きます。

 タレントやアスリート、いわゆる名前が世間に知られている人々は、なぜかくも議員になりたがるのでしょうか?これも、「傲慢と権力の関係」が見え隠れしていますが、芸能人や著名人が政治に足を踏み入れる理由はもう少し複雑で多面的です。次のような理由が考えられます。
●注目を集める能力
 すでに知名度がある人物は、選挙において圧倒的な有利を持っています。名前を知ってもらうために多額の資金や労力を使う必要がない分、スタートラインが違うわけです。
●影響力の転用
 芸能界やスポーツ界などで築いたファンや信頼を、「社会のために活かしたい」という思いに繋げる人もいます。その純粋な動機と傲慢さは、紙一重で混在している場合も多いのです。見極めていますか?
●自己正当化と英雄願望
 「自分だから変えられる」「みんなのために行動すべき」という強い使命感が、権力欲と融合しやすい構造があります。社会の“主役”としての立ち位置を、スクリーンから議会に移す感覚なのでしょう。
●政策への関心と現場への苛立ち
 一部の著名人は、自分が直接社会課題に取り組むことでより良くできると信じており、既存の政治家に対する不信から立候補するケースもあります。

 つまり、「傲慢さ」が動機になることもありますが、それだけではなく社会との関係性を変化させたいという自己表現や使命感が根底にある場合もあるのです。利己的な動機だけではないと信じたいですが、当選した途端に脳が悪い方に変化するのは、集団農耕型だからなのでしょうか。

国民はなぜタレントや著名人に投票するのか



 多くの国民は、なぜ名前が知られているというだけで、中身を検討することもなく投票してしまうのでしょうか。これこそ民主主義の選挙という方法論が持つ最大の欠点のひとつになるわけです。これは心理学・社会学・哲学の交差点にある重要なテーマです。これは、認知的親密性(cognitive familiarity)と擬似親密性(parasocial intimacy)の作用によるものだと言われています。
 認知的親密性:何度も見聞きした名前や顔に対して、安心感や信頼感を抱きやすくなる。これは「単純接触効果(mere exposure effect)」として知られています。
 擬似親密性:テレビやSNSを通じて、実際には会ったこともない有名人に対して、あたかも個人的な関係があるかのような感覚を持つ。これは「タレント政治家」現象の核心です。

 くくりへの撞着という視点で見ると次のように考えられます。
「同じふるさとのアスリートを応援」→ 地域というくくりへの帰属意識が、個人への支持に転化する。
「同じ地域のチームを応援」→ 集団的アイデンティティの投影。
「国際大会で日本を応援」→ 国家というくくりへの撞着。自分の存在意義をその枠組みに重ねる。
 これらと同じで、 「有名人に投票」→ メディアを通じて形成された擬似的な“身内感”が、政治的判断を曇らせる。つまり、「名前を知っている」というだけで投票する行為は、理性的判断ではなく、くくりへの感情的撞着によって動かされている可能性が高いのです。投票行動においても、孤高武士型の自律心や精神力が必要なのです。