On草子
紅菊



悲 し み


   悲しみが まとわりつく
   帯がからまるように 
   執拗にまとわりつく
   眼をつぶる...  からだが沈む
   ただよう 悲しみの気配

   悲しみを捕まえてかごに入れた
   何も変わらない
   鳥かごのまわりを
   静けさがさまよっていた

   かごの扉を開け放した
   それでも悲しみは動こうとせず
   ただ そこにある
   静けさだけが
   かごの内と外とを出入りしている

   耐えかねて
   かごを踏みつけ めちゃくちゃにした

   すぐそばの虚空から
   悲しみが見つめていた
   静けさをしたがえて

                               2008.01

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