On草子
紅菊



ほんの少しの『さよなら』を


 ロウソクの炎 ゆらゆらと
 いまにも消えそな か細さは
 あなたの命の灯火(ともしび)と 
 一緒に尽きてゆきました

 もう何も無い この部屋に
 ただあなたの あなたの優しさだけが
 いまも残っています

 消えることの無い悲しみなんて
 どこにもありはしないよと
 あなたの言葉が聞こえたようで 
 なんだか勇気がわきました

 もう振り向きはしません
 昨日は振り返らずに
 前を向いて 明るい日差しを両手に抱いて
 もう一度愛するあなたと会えるその時まで
 ほんの少しの『さよなら』を


 陽炎の影 ゆらゆらと
 夕闇まじかの山並みに
 あなたの命のいとなみは
 夕陽とともに消えました

 もう何も無い この部屋で
 ただあなたの あなたの面影だけが
 いまも漂っています

 忘れることの無い苦しみなんて
 どこにもありはしないよと
 あなたの言葉が聞こえたようで
 なんだか元気になりました

 思い出にすがらずに
 前を向いて 生きてる時間(とき)を大切に
 いつの日か愛するあなたとまた会うその時まで
 ほんの少しの『さよなら』を

                               2009.01

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