On草子
紅菊



三月十一日 名も無き武士達に


  暖かな 明るい 遠く離れた場所から
  手をさしのべる事もできない 
  もどかしさと 後ろめたさの中にあって
  ひとつだけ伝えさせてほしいのだ

  たとえテレビが何も伝えなくとも
  華やかなスポットを浴びることが無くても
  それでも君達こそ 
  私にとって いや日本人にとって 
  武士(もののふ) 名も無き武士なのだと


  爆風に飛ばされた仲間
  100ミリシーベルトを超える放射線を浴びた仲間
  それを知っても それでもなお 持ち場を離れず

  繰り返し 繰り返し
  暗闇と恐怖の海へ
  出かける君達を武士(もののふ)と呼ばず
  誰をそう呼ぶのか


  たとえ誰もほめることもなく
  取り上げることもない君達を
  私は生涯忘れないだろう

  苦悩と絶望の淵にあって
  なお希望の光を 希求してやまぬ戦士達よ

  私は信じている
  必ず困難な任務を終えて
  無事な姿を愛する人達に見せてくれることを
  輝くような笑顔と共に

  私は信じている

                               2011.03.22

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