On草子
紅菊



二人で生きる


   哀しい歌が 好きだから 
   私は日陰の女だと
   笑って話す 君が好き

   横顔に時折見せる 寂しさは
   長い人生(いのち)の証(あかし)だと
   心の中で ささやいた

   それでも 今日から 二人で生きる
   明日は 明るい陽が昇る
   他人(ひと)におもねることもなく
   他人に恥じ入ることもなく
   ただ生真面目に つつましく

   小さな 小さな 夢だけど
   たくさん集めて 暮らせれば
   幸せが 花園みたいに膨らんで
   二人の心も おだやかに

   華やかさとは遠いけど
   路地の細道 歩いていても
   手と手をつなぐ二人には
   名もない花も美しく
   二人だけの夢通り
   大きな希望の道すがら

   一人で かなわぬ夢さえも
   二人で いっしょに見る夢は
   見ていることが 楽しくて
   人世の悩みを忘れ
   かわす言葉も忘れ 
   生きてることも 忘れそう

   子供の名前を考えながら
   新しい命のたすきをつなぐ日を
   今か今かと 待つ二人です

                               2012.08

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