第二部 食料文明国家構想(食が作る新しい日本)
人口減少社会
― 人が減る国で、どう文明を維持するのか ―
はじめに
日本は長い間、「人口は増えるもの」として国家を設計してきた。学校も、住宅も、鉄道も、道路も、病院も、
すべて人口増加を前提として整備されてきたのである。
しかし現在、日本は歴史上初めてかもしれない、本格的な人口減少社会へ突入した。
多くの人はこれを「衰退」と考える。だが本当にそうだろうか。
本話では、人口減少そのものを問題視するのではなく、人口減少社会に適応した文明の姿を考えてみたい。
人口減少は本当に悪なのか
戦後の日本は、人口増加
↓
労働力増加
↓
経済成長
そのため、人口減少=経済縮小=悪 という固定観念が生まれた。
しかし文明史を振り返ると、人口が増え続けた文明など存在しない。
むしろ問題は、人口の増減ではなく、社会が変化に適応できるかどうかなのである。
文明を支える三つの資源
文明を維持するために必要なのは、単純な人口数ではない。重要なのは
食料
エネルギー
技術
である。
もし十分な食料と技術があれば、人口が減っても文明は維持できる。
逆に人口が多くても、食料が不足すれば文明は崩壊する。
第一部で見てきたように、文明の土台は常に食料なのである。
文明を支える三本柱
文明▲
┌──┬──┬──┐
食料 技術 エネルギー
日本が直面する本当の問題
本当の問題は、人口構造の変化である。
少子化により、若年層が減少し、高齢者比率が上昇する。結果として、現役世代の負担が増える。つまり、人数よりも年齢構成が重要なのである。
地方から消える社会
人口減少の影響は、まず地方に現れる。学校が閉鎖される。病院が維持できなくなる。商店が消える。公共交通が維持できない。
こうして生活基盤そのものが失われる。
現在の日本は、人口減少というより、人口分散の崩壊 が起きているのである。
地方衰退の連鎖
若者流出
↓
人口減少
↓
商店閉鎖
↓
生活不便
↓
さらに人口流出
AIと自動化が変える未来
しかし人口減少は、必ずしも悲観的な話ではない。AI
ロボット
自動運転
ドローン
遠隔医療
などの技術は、少人数でも社会を維持できる可能性を持つ。
農業も同じである。従来 100人必要だった仕事を 10人で行える時代が来つつある。
人口減少と技術革新
昔
100人 → 生産100
現在
50人 → 生産100
未来
20人 → 生産100
食料文明国家の考え方
食料文明国家は、人口増加を目的としない。むしろ人口減少を前提として、国家を再設計する。重要なのは、人口規模ではなく 一人当たりの豊かさ である。
大量生産・大量消費社会から、持続可能な社会へ。
人口拡大型文明から、安定維持型文明へ。
これが転換点となる。
人口拡大型文明から、安定維持型文明へ。
人口減少社会に必要な発想
これまでの日本は、人口増加によって問題を解決してきた。しかしこれからは違う。必要なのは、「増やす」発想ではなく、 「維持する」発想 である。
学校を何校作るか。ではなく、どう維持するか。
都市をどこまで拡大するか。ではなく、どう縮小するか。
文明そのものが、成熟期に入ったのである。
おわりに
人口減少は、文明の終わりではない。むしろ人口増加文明から、成熟文明への移行である。
問題は、人が減ることではない。人が減る現実を認めず、昔の仕組みに固執することである。
食料文明国家は、人口減少を恐れない。人口が減っても豊かに生きられる社会。それこそが、次の日本が目指すべき姿なのである。