「○○も○○も採用革命」という記事が目にとまりました。私自身、現役時代には人、特に技術者の採用でかなり苦労をした経験があります。また自分自身もリストラなどで、二桁に及ぶ会社に席を置きました。そんな事から読んでみたのですが、やはりな、というのが正直な感想です。
シリコンバレーで起こった採用革命が、日本にも上陸したというのが、キャッチワードの様ですが、何かと言えば、タレント・アクイジション=TAの事でした。ここ10年くらい、日本の大手企業においても、仲介に頼らずに企業が直接採用を行うダイレクトリクルーティングの導入が進んでいるというのです。それをさらに進めるのがTAだという事です。優れた才能の人材(タレント)を獲得(アクイジション)するというのです。何を今更というのが、本当のところです。カタカナや回りくどい言葉を使用していますが、要するに新入社員の一括採用だけでなく、中途採用を積極的にやりますということです。記事でも認めていますが、これは2008年頃から、アメリカでより広く行われるようになりました。日本でも、外資系企業では、バブル以前からすでに当たり前のことでした。その現場に私もいたのですから、事実です。
この話題を取り上げたのには、2つほど疑念というか、問題点を指摘したかったからです。
ひとつが、失われた30年以上にわたり、社員教育も人材への投資もしてこなかった日本の企業が、まだ虫のいい話を考えているのかという事です。才能有る人材の獲得とは、すでに出来る人を雇うことで、自分達は相変わらず社員教育などしないと言うことですよね。全社員を入れ替える気なのですかね?
もう一つが、寄り深刻な問題だと考えます。それは、採用する側に、人材の能力を見抜く力があるのかという事です。外資でも大手企業でも、普通人事部は、最終の採用判断は、その人材を使う部門に任せます。というのも、人材の全体評価はできても、求める専門的な能力の有無などは、簡単にみきわめられないからです。経営者の外部からのスカウトなども一時はやりましたが、その結果はどうだったのでしょうか?人の本質を見るのは非常に困難ですが、専門的な分野での才能をみきわめるのも、同様に難しい事なのです。この能力無くして、タレント人材の採用など、どこか笑ってしまいます。言い過ぎでしょうか。皆さんはどう思われますか?
令和7年5月7日(水)