日本の知財使用料金が順調であるという記事がありました。「日本の知財使用料は世界有数の黒字、特許大国の中国しのぐ伸びも手放しで喜べぬ事情」という長い題ですが、内容はこんな感じです。
つまり、世界各国の知的財産使用料を見てみると、日本の受け取り額は世界3位、支払額では6位で、収支尻では、3位だったというのです。なかなか頑張っているなと言う感じなのですが、少し問題がありそうなのです。ひとつは、収入項目に偏りが無いのかということと、もう一つが、海外の子会社から日本の本社に支払われるのが多いのではというのです。
要するに、もうけが偏っているし、自分で自分の足を食べてるだけではという事ですね。
なかでも私の危惧してることは、以前にも指摘したのですが、日本の技術や産業は、他の先進国に比べて極端に偏っていないかという点です。実際、知財使用料でも、著作権の使用料は1兆7300億円もの赤字(2023年)で、しかも拡大傾向にあるのです。
産業以前の学問分野でもその傾向は見られるのです。11の学問領域での、主要14ヵ国の論文数順位にもそれが現れています。日本が論文数で5位以内に入るのは、11領域の内で6領域なのです。コンピュータ科学の領域では、何と10位以下なのです。研究分野でこれですから、産業での偏りもある意味当たり前でしょう。
ものまね、横並びの気質も関係しているのかもしれません。産業構造の上からも、特定の業種や業態に偏れば、過当競争そして薄利となるのは避けられません。多種多様な共生と言うのであれば、同じように産業も、もっと多種多様であるべきなのです。実際、江戸時代にのは実に多様でした。なにしろ、ふんどしのレンタルまであったのですから。もう一度独創性を重視する社会に戻りましょう。
令和7年5月8日(木)