PSYCHOLOGY & BRAIN SCIENCE 04

無意識は人をどう動かすか

――私たちは、理由を知ってから行動しているとは限らない

私たちは、自分がなぜそうしたのかを、あとから言葉で説明できます。 しかし、その説明が行動を生み出した「最初の原因」とは限りません。

人は、意識して考える前から、見たもの、聞いた声、過去の記憶、 身体の反応などを高速で処理しています。 その結果が先に行動や感情へ表れ、意識はあとから「なぜそうしたのか」を説明することがあります。

まずは「無意識の内部劇場」

次の動画は、恋愛を例にして、意識より先に脳内でさまざまな処理が進む様子を キャラクターで表現した短いイメージ動画です。 実際の脳がこのような会議をしているわけではありませんが、 「本人が気づく前から処理が始まっている」という考え方を見るための比喩です。

無意識の世界 ― 内部劇場

では、日常ではどうなのか

下の場面を選んでください。 「本人が説明する理由」と、その背後で働いていたかもしれない心理過程を並べてみます。

本人が説明する理由

考えられる心理過程

ここが大切: 下に示す心理過程は「本当の理由はこれだ」と断定するものではありません。 人の行動には複数の原因があり、本人の説明そのものが正しい場合もあります。 無意識の影響は、その一部として考えるものです。

意識は「あとから説明する」こともある

先に反応する

視覚、声、表情、身体感覚などへの反応が、本人の自覚より先に始まることがあります。

過去が混ざる

似た人物や場所、成功・失敗の記憶が、現在の感じ方に影響することがあります。

あとから意味づけする

意識は、その結果を受け取って「自分はこう考えたからだ」と物語を作ることがあります。

だからといって、私たちに自由な判断がないという意味ではありません。 無意識に生じた反応に気づき、考え直し、行動を変えることもできます。

「自分の理由」を少し疑ってみる

人間は、自分の心をすべて見通しているわけではありません。 「なぜそう思ったのか」「なぜそうしたのか」を考える時、 意識にのぼっていない過程があった可能性もあります。

無意識を知るということは、
自分では見えていなかった「心の前段階」に気づくことです。