大型の巡視母艦の建造を急げ

 中国による尖閣諸島への侵略が日々激しさを増している。いずれ何らかの実力行使行動が行われると考えるべきだろう。日本も具体的な対応策を急ぐべきである。その一つとして、海上保安庁の巡視船による対処力の向上を図る必要がある。

 まず日本の海保、自衛隊も同じだが、の弱点を見よう。
 ① 人員、物量の不足
 ② 自動化、機械化の遅れ
 ③ ドローンなど無人機、無人艇の配備遅れ
 ④ 制圧用武器の欠落

 これらの弱点により、相手の物量作戦、長期間作戦への対応能力に問題がでてきている。それを隊員の過酷な任務によってかろうじて対応しているのが現状である。これは尖閣防衛だけではなく、日本海での違法操業の取り締まりや、北方領土周辺や太平洋での日本漁船保護においても、同様の問題が発生している。

 根本的な対処はそれとして、現実的にすぐに対応する事が可能な具体案を示してみたい。それが、巡視船の大型母艦の配備である。日本軍の伝統からしても、大型船と多機能船の建造は得意なはず。

 船から直接兵が上陸できる上陸強襲艦は、日本陸軍が最初に実現した。海軍に頼らず兵力を上陸させられる船舶を考えたのである。また海軍は大型潜水艦に飛行機を格納して、敵本土の攻撃を考えた。化け物のようにでかい潜水艦に、折りたたんだ飛行機を数機載せて攻撃させたが、時すでにおそしだった。アメリカはこれを参考に潜水艦発射ミサイル(SLBM)を装備したとも言う。日本軍は、アイデアでは世界最先端を行く部分もあった。その良き部分だけは継ぐべきなのだが。

 建造する大型母艦の特長は、次のようなものが考えられる。
 ① 二万トン級で、豪華客船の半分と揚陸艦の半分をつなぎあわせた船。
 ② 上陸用舟艇の代わりに、巡視艇を船内に保持する。高速巡視艇含めて10隻ほど。
 ③ 後部のヘリ甲板は、オスプレーなどが着艦可能。
 ④ 大型タンカー同様の無人航海機能をもつ。最小人数で動かせる省力艦。
 ⑤ 同一海域に長期間滞在可能な豪華客船並みの設備をもつ。娯楽設備、個室等。
 ⑥ 船内からの各種武器使用が可能。荒れた甲板に人が出なくても対処できる。

 これにより、同一海域に数ヶ月以上とどまることが可能になる。隊員のやる気だけに頼るのではなく、きちんと休めるオンオフのけじめがつく設備の充実が重要である。豪華客船からその設備の一部をもってくればよい。むろん手術室や留置所、感染対策設備など、巡視母船ならではの設備も必要だろう。

 船内格納の巡視船は、外洋で夜間も活動可能なもので、これも省力化し、また船内からの武器使用が可能なものにしておく。少し小型の超高速艇と中型巡視艇を基本に、必要に応じた特殊艦船を載せる。これらは、一定時間の活動後、母船内に収容される。そこで、隊員は休みを取ることが可能になる。隊員の負担を軽減しながら、長期間の活動が可能になる。

 母船の支援船も整える。燃料、食糧などの補給やゴミなどの回収も、コンテナ化した形で効率よく行えるようにしておくことが重要。

 船と隊員がセットになった考え方を柔軟にする。つまり、母船群と隊員グループを分けて考えれば、たとえば1ヶ月毎に隊員を入れ替えることで、同じ船が半永久的にとどまって活動が可能になる。

 対処する武器類の充実と無人化を図る。何よりも、数百隻の相手に対応できるものを準備する。例えば、音波銃、催涙弾ランチャーなど。また、ロケットランチャーなど万一に備えた武器も持っておくべきであろう。

 これらの主目的は、領海・経済水域などの警備であるが、災害時の支援船や避難場所としても使う事ができるので無駄がない。最終的には、四隻建造して、尖閣、日本海、太平洋岸、沖の鳥島等に配備する。4隻1組で、保守や訓練などが円滑に出来ていく。


 開発は、現在の海保予算とは別に、コロナ後の内需拡大の具体案のひとつとして別予算でやる。訳のわからないばらまきはやめて、目に見えて効果のある事をやるべき。政財官が癒着して、何兆円も既存勢力の金儲けに使うのはやめるべきである。高度な造船技術は、日本が今後も大切に保持すべき技術でありなくしてはならない。また、内需振興策としての側面もあるので、労働者も外国人労働者ではなく国内労働者を活用するのが基本とすべき。

 第一弾の母船の機能はこれで良しとして、もう一つ違う機能の母艦、無人機、無人船の指令船が考えられる。この先は、日本改革私案に譲ることにしよう。

令和2年7月4日(土)

2020年07月04日