絶望の四半世紀の正しい認識を


 アベノミクスがなかなか国民生活を劇的に改善できない理由はいくつも考えられますが、それらに加えて、日本人の大半が、この失われた20ー30年の内容を正しく理解していない事があると考えています。そこで、いくつかの例を提示してみたいと思います。古いデータもありますが、それよりも時代の傾向、真実を大きく捉えてみてください。


 失われた20年が一向に改善されず、20年が30年にと、年月だけが無為に過ぎています。失われた20年とは云うまでも無く、バブル崩壊後の経済成長が鈍化どころか停滞してしまった状況をさす言葉です。まずは簡単に経済の歴史を見てみましょう。年月日は内閣府の発表によるものなので、実際の庶民感覚や実体とは必ずしも一致しないかも知れません。
 
 1973年(昭和48年)12月から続いた安定成長期
 1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月 ―バブル景気の時期
 1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月  ―バブル崩壊期間
 1991年(平成3年)から2013年(平成25年)/現在  ―失われた20年/25年
 バブル崩壊後、経済成長が止まりデフレ状態になった日本社会は、そのまま国際的な地位の低下を招き続けています。第二次安倍内閣の発足(2012年(平成24年)12月)により、大規模な金融緩和策が取られ、一部の経済指標などは明るさを取り戻した物もあります。そこで、ここでの失われた20年とは、1991年から2013年の間を主な対象期間として述べることにします。

絶望の四半世紀

 失われた20年で問題とされるのは経済成長の話です。もちろん、経済の成長がとまることは、社会全体に大きな影響を及ぼす重大な要素の一つである事はまちがいありません。しかし、それ以上に問題なのは、その間の日本社会ひいては日本人の在り方です。そのあまりのひどさに「絶望の四半世紀」と呼びたくなるのです。

 先進国の中で唯一経済成長が止まり、取り残された日本。そのような指標も当然重要ですが、それ以上に重要なのは、おかしな政策や日本人の身勝手な行動でしょう。それは集団農耕型気質の人間達が社会の権力を握り、支配層となった時の恐ろしさを良く現してもいます。権力とか支配層とかいうと、単に政治家や一部の富裕層のことだと受け取られがちですがそうではありません。それらに加えて、一般の企業経営層、組織の幹部、メディア、学校などあらゆる分野において実権を握った多くの日本人が含まれるのです。さらに、現状維持を切望してかたくなに改革を拒んだ多くの人々。結局大半の日本人になってしまいます。だからこそ、気質の問題は大きいのですが。

国際的な地位、経済的衰退の指標

 まずは、経済を中心とした世界における日本の地位の後退や経済的衰退について幾つか見てみましょう。ネットでもすぐにみつかりますので、出典は特に記しません。

・日本の競争力順位
1990年(平成2年):1位 ⇒ 2010年(平成22年):27位

・GDP順位
世界2位から3位に落ちただけといわれますが、実体は異なります。
   ピーク時アメリカの70% ⇒ 今では1/4(25%)
      イギリスの4.1倍 ⇒ 1.8倍に縮小

・一人あたり名目GDP順位
1993年(平成5年)3位 ⇒ 2013年(平成25年)26位
   1997年(平成9年)ごろからアメリカとの差が開き始めました。

・人口一人あたり実質GDP成長率
1985-1990年 +4%以上 ⇒ 2007-2008年 -2%

・サラリーマンの平均年収
   1997年(平成9年)467万 ⇒ 2012年(平成24年)408万
   年収においては様々な格差が生まれています。
   民間企業年収では、1千万を超える人が186万人(4%)なのに、
   200万以下が 1120万人(24.1%)に上ります。(平成25年度)
   しかも、30万人も増加しているのです。

   男女差や正規と非正規の格差も増加しています。
    正社員平均年収  男性 527万  女性 350万
    非正規 "         225万     143万

   1980年代後半から新自由主義の導入がより盛んに進められ、格差も発生するなどの
   社会変化が生じたと思われます。平均年収がピークを打ったときから、一人あたり
   のGDPもアメリカとの差が開き始めたのは、偶然ではないでしょう。GDPの減少は間
   違いなく個人の所得とも関係しているのです。

・サラリーマンの退職金平均 
1997年 2868万 ⇒ 2012年 1941万 大卒(管理、事務、技術)勤続20年以上
   1997年 1291万 ⇒ 2012年 1128万 高校卒現業職
   サラリーマンの退職金は5年間で大幅に減少。

   2012年度に定年を迎えたサラリーマンの場合
   大学卒 2007年    2012年
    平均     2280万円 ⇒ 1941万円 339万円減
    勤続35年以上 2491万円 ⇒ 2156万円 335万円減
   高校卒
    平均     1970万円 ⇒ 1673万円 297万円減
    勤続35年以上 2238万円 ⇒ 1965万円 273万円減
   1990年代後半は、終身雇用慣行の見直しが進んでいた時期。


・国の借金
   1996年(平成8年) : 355兆円 2000年(平成12年): 536兆円 
   2012年(平成24年): 992兆円 2013年(平成25年):1008兆円
   2016年(平成28年):1062兆円


より深刻な社会の変化

社会の劣化としか思えない出来事をいくつかをみていきましょう。


・所在不明の子供がいることが問題になり、平成26年に全国調査が行われました。
5月には2908名もいましたが、その後の追跡調査などにより、95%が発見されました。
しかし所在の判明した子供のうち93名は虐待を受けている可能性があったといい
ます。厚生労働省も怠慢なら、各自治体も怠慢です。理由は色々あるでしょうが、こ
ういうことが長年放置されていて、誰も不思議に思わない社会は異常なのでは。

・その児童虐待が止まらないどころか、増加しています。児童相談所における児童虐待
相談対応件数は22年間で約60倍にもなっています。虐待による死亡は年間50件を超え
ているのです。しかも虐待をするのは、実の母親が多いというやりきれない現実があ
 ります。さらに、遺棄された子どもが年間10人を越えるという。その大半が実母によ
 るのだから、耐えられない話です。
 社会もおかしいのですが、個人の心が弱かったり、病んでいるのではないでしょうか。

・振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害が止まりません。2014年の上半期の被害額は、前
 年より27%も増加しています。この特殊詐欺がもはや裏ビジネス化してしまい、多く
 の人間がかかわるようになっているのです。大不況時や内戦時でもあるまいに、多く
 の日本人にとって犯罪を犯す敷居がかくも低くなった時代があるでしょうか。
 まじめに働く、悪事をしないという基本の道徳や倫理の存在が、個人の中で希薄になっ
 た社会になったと考えられます。

・正社員から非正規への労働人口の移動が拡大を続けています。平成元年に非正規雇用
 労働者の比率は19.1%であったものが、平成25年には36.7%にまで増加。特に15~24歳
 の若年層で、平成5年から平成15年にかけて大きく上昇しているのです。
  非正規社員 15-34歳の女性
      1987年(昭和62年) 20%
      2012年(平成24年) 47%
 1999年の男女共同参画や労働者派遣法改正が引き金に成っているのでしょうが、なぜ
 かほとんど誰も指摘しません。一見正しそうに見える事柄が、実は全く違う物になっ
 ていることが、日本の政治や社会では多く見受けられます。

・覚せい剤、大麻などの違法薬物検挙者数も依然高いままですが、最近ではさらに危険
 ドラッグによる事故なども目立っています。おそろしいことに、摘発された危険ドラッ
 グの製造に主婦がパートで加わっていた事例もありました。

・ストーカーは2万件を超え、DVも最多の5万件。(2013年)DVは12.7%も増加。
 ストーカーは2000年からあまり減っておらずここ数年また増加の傾向。DVは2002年
 からものすごい勢いで増加を続けているのです。
 行きすぎた個人主義は利己主義となり、攻撃性を高め道徳心を失わせます。ストーカー
 殺人なる言葉まで生まれる社会が、まともな社会でしょうか。

・2005年(平成17年)から、貿易から投資立国に変化しているにもかかわらず、政策が
 輸出中心のままです。1990年に2400万人だった製造業従事者は、1000万人にまで減少
 しているのもそのため。それでも、ものづくり大国なのでしょうか?
 これはまた、企業が国内に投資をせず、利益を海外に投資して1400万人分の雇用を
 喪失させたという事です(極端に言えばです)が、ほとんど騒がれません。おかしな
 社会です。こうなると国民は無関心なのではなく、無知なのでしょう。

・1995年から生活保護受給者が増加に転じています。最近では外国人による医療費不正
 受給と共に問題化しています。原因は、性善説の法体系なのではなく、じつは特定の
 事業者の利益を優先させているからなのでしょう。

・2012年(平成24年)大学の数:783校。10年前から97校も増えています。生徒年齢の人口
 が増えていないのに。結果、私立大学の4割が定員割れを起こしているのです。15歳未
 満の子供の数は、2012年まで31年連続で減少なのに。すでに該当する人口が減少してい
 るのに、全く正反対の政策をとる官僚と政治家、それを見過ごす国民大多数。
 競争原理を導入との名目で大学を新設させてきました。しかし文部官僚は天下り先確保
 のために、大学をつぶすどころか補助金で支えているのです。大学も能力を考慮せずに
 大量に入学させています。それでも足りず、海外からの留学生を受け入れています。
 本当に日本で学ぶ人は歓迎ですが、大半は中国人でその多くが、単なる違法労働者なの
 は、すでによく知られています。これを批判しないメディアと専門家とは一体なんなの
 でしょうか?

・アメリカ占領政策への対応。

  占領方針 戦後~1950年代  日本の弱体化
       1950~80年代  日本の基地化
       現在         属国化

 ドイツは、1993年(平成5年)安保条約を改定して不平等条約を解消しました。ドイツ法
適用に変更したのです。日本は無策のままですが、ここには恐ろしい気質の問題が隠れ
 ています。

・過労死は10年で4倍に。また精神疾患の労災では、半分が30才以下。平成10年
 から増加しています。これは、個別企業、従業員個人の問題を越えて、すでに社会病理
 になっています。

・都営住宅は、ここ20年新設がありません。そこに20万人が入居を希望している一方で、
 民間の空き家が70万戸もあるのです。住宅政策が無策すぎると言えるでしょうが、ここ
 にも自己中が顔を出しています。

・児童の食物アレルギー。
   小中学生の4.5% (2013年)。10年で1.7倍に増加。

・農業の衰退
  1971年(昭和46年)から、アメリカ、オランダ、ドイツは農産品の輸出国に転じたの
  に、日本は、保護政策だけに走り、結局、金で現状維持するだけに陥ったのです。
  その結果がこれです。

          1990年  2014年
    所得    6兆円   3兆円
    年齢    59.6歳   66.1歳
    耕作放棄地  22   40万ha

  官僚は権限保持のため、政治家は集票のため、強い農業より補助金漬けがのぞましい
  のです。これもまた批判すると弱者(農業従事者)いじめとかいわれます。一方で、
  食糧自給率は下がる一方で、何も手をうたない。国民のための政治はどこにあるので
  しょうか。

・漁業の衰退。
  農業だけでは無く、漁業もいつのまにか世界の後進国になっています。贅沢品だった
  食べ物を、ひたすら安くむさぼる国民の意識にも、もちろん問題はあります。しかし
  中国どころか、台湾などに漁獲を奪われている現状への危機感が希薄すぎます。例え
  ば、北欧の1/10しかない小さな漁船に固執するのは、政策の無知だけで無く、気質も
  関係しているのです。

・林業の衰退。
  第一次産業の衰退は、結局この国の戦後の歪んだというか無能な政策に加えて、ひた
  すら安さだけを追い求める消費者を生み出した社会の問題でもあります。世界屈指の
  森林を持つ日本が、木材を輸入するなど、狂気の沙汰でしょう。でも、多くの日本人
  は、その事に気づいていないのです。恐ろしい気質ですね。そして、杉花粉アレルギ
  ーだと騒ぎ、土砂崩れで被害を拡大させています。

・出生率(少子化)。
 出生率の低下は「失われた20年」以前からの問題で、1975年(昭和50年)くらいから200
 万人を割ってしまいました。これほど長い期間、ほとんど有効な手立てが打たれなかっ
 た社会の在り方がおかしいのです。逆に優生保護法から母体保護法への改正(1996年
 (平成8年))が、不妊手術・人工妊娠中絶を増やしたとの指摘すらあります。しかしこ
 れが影響したというデータは見当たりません。社会全体が豊かになる事で、少子化を容
 認する方向に進んでいったという事なのでしょう。ですが、「種」よりも「個」を重視
 する社会を放置したことが問題なのです。

・30代女性未婚率。
   1990年  2000年  2010年
    10.4% 20.4% 27.8%

・体外受精 26万9659件 世界最多で10年前の3倍(2012年)。
  => 2015年〔平成27年)にはついに42万件に増加。

    40歳以上の高齢者が4割を占めるが、40歳以上の妊娠は非常に少なく、40歳で
    9.1%しか生まれない。

 何でも、極端にやり過ぎる気質が災いしているのです。若いうちに子供を生める社会
 になっていないことも問題ですが、女性も若いうちに生もうという意識が希薄になっ
 ているのは確かでしょう。不妊は、女性だけでは無く、男性も関係しています。卵子
 同様に精子も老化し減少するのです。自然の営みを無理にゆがめる社会が、進歩した
 社会なのでしょうか。

 アメリカでは保険適用されていませんし、フランスでも40歳以上には保険適用されま
 せん。(注:2017年現在では確認できていません)個人の責任を重視したり、合理的
 な考え方に基づくのですが、日本では全く逆で、感情的な対応ばかりが目立ちます。
 そして、負担を他の国民に押しつけているのですが、それを言うことさえタブー視さ
 れています。 

・人工妊娠中絶数

  1989年(平成元年) 466876件  2011年(平成23年)202106件

  平成25年度の人工妊娠中絶の件数は186,253件となっており、月間で15,000件、1日
  あたり500件の人工妊娠中絶が行われていることになります。年間出生数が100万人
  程度しか無いのに、2割も中絶があるのです。この命が救えれば、少子化もかなり
  変わってくるはずです。
  実を言えば、人工中絶の率は、失われた20年だからと言って増加しているわけでは
  無いのです。むしろ母数の出生数の減少や避妊薬の使用により、中絶率も減少して
  います。ですが、少子化が問題となり、不妊治療がこれほど行われる一方で、いま
  だ中絶も相当数あるのは、なぜでしょうか?どこか歪んでいるように思えます。
  若い女性が、生まれたばかりの子を遺棄してしまう事件を聞くたびに、やりきれな
  くなります。どうして子供の欲しい夫婦に預けられる社会が、生まれないのでしょ
  うか。

・自然流産数。
  他に自然流産も、平均して14%程度あると言われています。とくに、40歳以上では
  40%を越える高い率とも。自然流産と死産合わせて、年間18-19万人くらいであろ
  うとされていますが、正式な統計がないようです。

  人工中絶、自然流産、死産あわせて、36-38万ですから、ここが0なら出生数は4割も
  増えることになります。もちろん確率論等からも0になるのは不可能ですが。ただ
  少子化を心配しながら、こういう分野にどれほどの予算や政策が振り向けられてい
  るのでしょうか。
  わざわざ、高齢出産させるような社会の仕組みは、ゆがんでいるとしか思えません。
  女性も「しかたがない」ではなく、もっと「社会そのものを変えろ」と言う方向で
  声を上げるべきです。

・平成の大合併の失敗(1995年(平成7年)~2006年(平成18年)
  3234の市町村が1700あまりに減少しました。内590が、合併経験市町村で、うち308
  が財政難にあります。合併の目的は、財政基盤の充実だったはずですが。官僚の政
  策はことごとく失敗すると言っては言い過ぎでしょうか。政策が失敗しても、焼け
  太りで自分たちは何も損しないという官僚制度を変えなければ、こういうことは、
  いつまでもなくなりません。

・大工、左官など、一人親方の事故死が増大しています。48名死亡/年。
  経営者扱いで保険も下りず、これでは建設業の人手不足も当然です。

・企業の内部留保が大幅増加していながら、給与である労働分配率は逆に低下。

      2007年〔平成19年)  2016年〔平成28年)
 内部留保額  269兆円      400兆円   75兆円も増加
 労働分配率  72.6%        67.5%   大幅ダウン

  いかに身勝手な経営者が増えたかの明確な証拠でしょう。企業は公のものだと言っ
  た松下幸之助も浮かばれませんね。

 きりがないのでやめましょう。失われた20年とは、経済的に停滞していただけではなく、それ以上に社会や人心の荒廃・劣化が起きていたのです。それが気質と相俟って、さらに経済の停滞を招きました。そのことを理解した政策がとられない限り、現状の打破は困難でしょう。借金だけが増えていく政策はすでに破綻していますし、消費税増税だけでは根本的解決策にはなっていないことを理解すべきです。地方分権と勇ましいのですが、人材なき分権など、「小霞が関」を全国に作るだけで、さらなる癒着やくくりへの撞着が進行するだけです。もっと日本人の気質をとらえた政策が求められているのです。

(追記)

 この四半世紀の政治を担った政権と総理大臣の責任は非常に思いものがあります。したがって、特定の人物だけが責められるべきでは無いのですが、大方の国民は未だにこの人物の成した悪行を理解できていないので、取り上げざるを得ません。

 小泉純一郎元総理は、ポピュリズムで大衆を踊らせるポピュリストの典型ですが、その内実はさらにひどく、この国の失われた20年の原因の多くを作った政権でもありました。

 ひとつが、正規社員と非正規社員の格差を生じさせて、さらには正社員の所得も頭打ちにさせたことがあります。いわゆる非正規社員の職種を全面的に開放したのです。自由な労働形態の導入の名のもとに、実体は経済界の要望だけを受け入れたのです。安い労働力を確保するという目先の目的だけのために。ここから、日本の格差拡大に歯止めがかからなくなってしまいました。

 もう一つが構造改革という名のもとに、学校などの教育や科学分野に競争原理を導入しました。同時に補助金の総額を減らし、ぶんどり合戦をさせるように仕向けたのです。これが現在にまで続く科学技術力の低下、基礎科学の衰退などを招いたばかりか、東大で数多くの不正論文が見つかり、世界的に有名な教授達が何人も職を追われる事態になったのです。この遠因のひとつが、度を超えた過当競争の導入であったことは言うまでも無いでしょう。いいかえれば、日本人の気質を無視してアメリカ流のやり方だけを採用した結果であり、これは今なお改まっていません。

 また、北朝鮮との関係で言えば、拉致被害者の奪還をまともにやろうとせず、あの5名の一時帰国(その後安倍らの働きで日本に留めた)と引き替えに、1兆円もの支援を約束して幕引きをはかろうとしたのです。いわゆる裏取引です。北朝鮮が、日本が約束違反だと言い張る理由のひとつにはこれがあります。裏取引は外交では当たり前の事ですが、問題はその内容です。これでは北朝鮮シンパだと言われても致し方があるまいと思うのですが。父親も、在日朝鮮人の帰還事業に中心的な役割を果たした政治家でした。どうしても血のようなモノを感じるのは、純一郎も、進次郎も、私が日本人の感性とは異なるモノを彼らから感じてしまうからかも知れません。あくまでも個人的感想です。

 ロカビリーか何か知りませんが、日本の総理がアメリカ大統領の前で醜態をさらしたのは、まさに属国の犬の振る舞いだったと言えます。それが表向きだけでなく、政策にまで及んでいたのですから、この人物の責任は重いのです。それに簡単にだまされて乗せられた大半の日本人も愚かとしか云いようが無いのですが。こういう大衆迎合の耳あたりの良い言葉だけを連呼して、実体は全く異なる人間を、簡単に信じてしまう大方の集団農耕型気質の日本人が恐ろしいのです。

 絶望の四半世紀の裏には、それを支え続けた集団農耕型気質の権力者達と、それに迎合した集団農耕型気質の大半の日本人の責任が大きく関わっているのです。

2012.07、2017.12、平成30年(2018)8月改

2018年08月03日