科学オンチの日本のメディア
種子島のロケット発射場から、UAEの火星探査衛星を載せたロケットが今朝発射された。UAEが建国50年の記念事業として計画した火星探査衛星、これに日本のJAXAが協力をして今日の打ち上げとなった。日本企業が外国の衛星を受注して打ち上げるのは4度目だそうである。世界的に宇宙ビジネスが進展する中で、これ自体は喜ばしいことなのかもしれない。
しかしどうも何か腑に落ちない点がある。それはほんの少し前、日本のキャノングループが製作した小型衛星の打ち上げをニュージーランドに依頼したのだが、ロケット発射は失敗をして衛星は失われた。テレビで取り上げたところがあるのだろうか?
さてここで疑問である。昔からであるが、日本企業はなぜ自国のロケット打ち上げを使わないのであろうか?理由は二つ考えられる、コストの問題とそしてもう一つは打ち上げ場所の問題である。素人の私はこの詳しい理由を知りたいと思っても、自ら調べることはできない。
さらに話をUAEの火星探査衛星打ち上げに戻すならば、なぜ日本は自国の火星探査衛星を打ち上げをとしないのだろうか。ここにも当然コスト問題があるのだろうが。
ここで述べたいのは、こういうことをひとまとめにしてきちんと解説した報道が見受けられないという点である。つまり大手メディアなどと呼ばれる古いタイプのマスコミは、ロケット打ち上げが成功したか失敗したか、そんな話題には飛びつくが、その裏にある日本の宇宙開発が抱える様々な問題、あるいは宇宙ビジネスに日本がなぜ出遅れたままなのかといった、本質的かつ深刻な問題への切り込みがほとんどみられない。たまに科学記事で取り上げられるが、少し古い感じや、科学技術以外の掘り下げが足りないように感じてしまう。
この問題を生んでいる最大の理由は、古いタイプのマスコミが科学的知識をあまりにもおろそかにしていることである。おろそかにしてるというよりは、興味がないという方が正しいのかもしれない。政治や政局で誰と誰がどうしたとか、あるいは芸能界の誰かが離婚したの不倫したの、日本社会全体に影響を与えるようなことでもないことばかりが、話題として取り上げられる。これらの話題には科学的知見は、全くと言ってよいほど必要ない。これでは日本全体の科学知識がますます劣化していくばかりである。
そもそも日本には科学ジャーナリストと呼ばれる人々がほとんどいない。これは、日本で文系と理系というわけのわからない区分を設けていることも、大きな原因の一つである。そのために理系に進んだ人たちは国語の能力を無視するところがあり、国民に向かってきちんと正しくわかりやすく説明することを避けてしまう。そのために、科学知識を持ったアナリストという職種がほとんど存在しないのである。逆に文系の人間は、頭から科学的知見を無視して、人間関係のどろどろとしたものに強い興味を示し、科学的な問題をとりあげようとはしない。
このままで、これを改善しないで放置すれば、日本の技術力や産業力は、ひたすら衰退の一途をたどるであろう。
令和2年7月20日(月)