地産地消と不公平がコロナ下の経済政策の有り様

 GoToキャンペーンのひとつであるGoToトラベルがいよいよ今日から始まりました。これだけもめてしまうと、気分的にも落ちてしまいます。また今の感染者数の増加傾向からすると、業者の皆さんが4200万もの献金をしてまで、実施を早めた成果は望めないかも知れません。あ、献金は実施日の前倒しとは直接の関係はないでしょうが。

 いずれにせよ、役人や役人上がりの考える経済政策は、だいたい失敗すると相場が決まっています。その理由はさておき、ここでは、ではコロナ下(コロナ禍の中)での経済政策はどうすべきなのか、思いつくことを述べてみたいと思います。

 題名の「地産地消と不公平」は、その中身を極端かつ象徴的に述べたもので、嘘ではありません。

人間の地産地消

 まず考えるべきなのは、コロナでは人が活発に動くと感染もまた広がるという事実です。ならば、活発に動かさなければ良いのです。都市封鎖のように人々が自由に動きまわらなければよいのですから、経済政策もそれに合わせれば良いわけです。人が移動する政策ではなく、決められた人間が決められた範囲で動くのならば、感染の確率は低減されます。これが、人間の地産地消です。

 これは今でも行われています。メーカの工場には、決まった人が来て働いています。工場での感染防止策と労働者の自己管理によって、感染が防がれているのです。なぜ、こういうことを政策として実行しないのでしょうか?

不公平な政策

 国や自治体がやる政策は、基本的に公平でなくてはなりません。その為に全国一律とか地域一括でばかり事業が行われます。ですが、今明らかに東京都と岩手県の現状は異なるわけです。東京に外出自粛を出しても、岩手県では県内移動であれば基本的に問題がないはずです。いまこの期においては、感染状況によって政策の実施に差がつく事は仕方がないことなのです。この不公平を容認すべきなのです。

 最悪に合わせて全員が経済的に自滅するのも、問題なしとして感染対策を何もしないのも、どちらも誤りなのです。国や地方自治体の経済政策が間違っているのは、この事を理解した上での不公平政策を実施していないからなのです。


実際の政策と実行

 では、具体的な経済振興策はなんでしょうか?これはコロナ以前から述べてきた内需振興策そのもので、何も変わりはありません。HPの日本改革私案(烈風飛檄)で10年も前から提案済みですが、実行されていません。たまに実行されるにしても、例えば国民番号(マイナンバー)に口座を持たせる案なども、単に民間口座との紐つけをするという歪んだ形になってしまいます。

 ブログでも提案した「大型の巡視母艦の建造を急げ」、緊急に海上保安庁の巡視船に巡視母艦群を建造する案があります。一群で大小合わせて10隻以上の船を建造するのですから、その地域における大きな雇用になるはずです。そこで十分な給与が支払われれば、周辺の飲食店も一息つけるでしょう。ホテルや観光地はどうするのだと、批判が聞こえてきそうですが、公平さを重視して全滅したいのですか?そうでなくても、県内での観光振興策はあるはずです。それを何も考えられないのは、日本の地方自治体の長が無策だからです。(ブログ「地方自治体・首長の力不足とコロナ下の経済成長策」)言い切れる理由は簡単です。今の多くの首長が官僚出身、官僚上がり、政治家上がりだからです。つまり、国の無策と同じ原因なのです。

 たとえば、県内での観光地や珍しい場所などを県民から募集し、そこで実際に県民に行ってもらって、新しい写真をあげたり、投票で順位をつけたりします。写真や短いビデオを投稿できるシステムくらい、地元で簡単に作れます。それに懸賞などをつけて、県内での買い物に使用できるクーポンなども出す。こんな仕掛けも、仕事がきちんとあって精神的にゆとりさえあれば、出かけるのは問題無く行われる事なのです。

 こうして、県内や地域の経済を活性化させる為の地産地消を、予防策と共に実行する。そこにこそ予算をつぎ込めば、それは将来にまで生きていきます。緊急避難策としての支援はむろん必要ですが、永久には続けられません。ですから、経済を動かすとの考え方は間違いではありません。唯その中身の具体策が間違っているのです。


 安倍政権の経済政策が最後にはうまくいかないのも、官僚による官僚的経済政策しか実行しないからです。グローバル化に踊らされて、内需をおろそかにし、収入格差で大量のゆとり無き層をつくってしまいました。それがコロナで世界交流が停止されたとき、最も深刻な打撃を受けてしまったわけです。これもまた、リーマンショックの時と変わりません。あのときも、先進国の中で日本だけが、長い期間立ち直れなかったのです。

 内需策の中で大きな政策は、感染防止策と組み合わせた実施策が必要になることは言うまでもありません。たとえば、首都圏から地元に戻って働く人々は大歓迎ですが、受け入れる前に、必ず検査と隔離をすべきです。その為の施設などをあらかじめ用意してからすすめる事が大事なのです。


 地域毎の内需策つまり雇用創出をやらない限り、この国が経済的にコロナ以前に戻ることは出来ないでしょう。それは、与野党を問わず誰が総理大臣になっても同じです。

 それにしても、なぜここまで内需策を考えられる人が出てこないのでしょうか?

令和2年7月22日(水)

2020年07月22日