ソフト貧国とやる気の無い経営者

 一般の人はあまり読まないいわゆる専門誌のネットに面白い記事が載っていました。「AIスパコン世界一はどれだ」という題で、AI用スパコン(ス-パーコンピュータ)でグーグルが一人気を吐いているという内容です。

 スパコンランキングでは日本の「富岳」が久々の活躍で、うれしくてブログでも取り上げたましたが、あれはいわば汎用コンピュータのランキングとも言えるものです。説明がわかりづらいので、簡単な言い回しにします。
 様々なアプリケ-ション分野でのソフトを動かして、最も早いスパコンが富岳です。それにたいして、有る特定分野の特定の使用方法において、性能を競うものがあります。そのひとつが、AI用スパコンというわけです。ここでは、AIを活用する上で必須となる種々のソフトで、スパコンの性能を評価するのです。

 AIにつきものの機械学習の訓練(トレーニング)には、通常、膨大な量のデータを読ませて膨大な学習をさせる必要があります。そこで、その学習能力の早さを競うわけです。このように、AIに特化したスパコンでは、8種類のテストの内6種類で、グーグルがトップだったそうです。そこでグーグルが、自社のAIスパコンを「世界最速」と主張しているわけです。

 さてここからが本題です。このAIスパコン・ランキングは、様々な企業が開発したAI専用チップの性能比べでもあるわけです。むろん、グーグルも自社開発したAIチップを搭載したスパコンをしようしているわけです。そうです、サービス(ソフト)のイメージが強いグーグルですが、必要であればチップ(半導体)もつくるわけです。まあ、少し詳しい方は、半導体はソフトをハードに置き換えたものだから当然、とおっしゃるかもしれませんが。

 日本のお家芸であった半導体が世界で一人負けの状態になったとき、なぜ高度なAIチップや3次元チップなどをつくらないのだろうかと、不思議に思ったものです。結局は、経営者の見る眼のなさであり、負けるべくして負けたようですね。

 コロナ騒ぎで日本のITの遅れが騒がれていますが、その大半は、それを口実とした安倍政権批判に過ぎません。IT化は政府だけでなく、むしろ民間企業こそ率先してやるべきものであり、地方自治体も人口減少で若い働き手がいなくなったときに、業務を機械化(IT化)すべきだったはずです。政府の中でIT化による合理化に反対なのは、実は高級官僚達なのでしょう。自分達の仕事や権限がなくなってしまうからです。コロナ対応で厚労省の一般職員は、100時間を越える残業で苦しんでいるというのに、高級官僚達は何一つ手を打ちません。これが日本の姿なのです。

 官僚だけでは有りません。企業でも、労組組織でも、学校でも、あらゆる所で実権を握る人達は、自分が現場の作業をするわけではないので、機械化などにさして興味がないのです。むしろ現状をどう維持するかで頭がいっぱいなのです。これでは、いくら騒いでもIT化など進みません。


 また、この事は日本でITに携わる大手企業においても言えることです。いったい、日本の通信やソフト関連の大企業から、どんな新しいサービスやアプリケーションが生まれたでしょうか。あるは、物まねでもよいのです。ドローンや太陽光発電というだけで、わき出るように何百社もでてきました。ですが、IT特にネットでのサービスはどうでしょうか。中国では、アメリカ製ソフトを使用せずに、同じようなサービスを国内開発しました。今やそれが世界で使われはじめ、アメリかは慌てて禁止に踏み切るほどです。

 それに対して日本はどうでしょう。アメリカに負けない国内ソフトを開発するどころか、なんと中国のソフトまで次々と導入を始めてしまったのです。ここには外来崇拝や同じ日本人を馬鹿にする気質などがあるのは確かですが、やはり、日本の経営者があまりにもむとんちゃく、やる気が無いためだとしか言いようがありません。ですが、日本のメディアは企業批判をしない不文律が有るようで、はっきり言えば広告宣伝を出すので企業批判はしないというだけですが、全く報道しません。

 なぜソフトは物まねしないのですか?多くの企業に問いたいですね。

 今からでも遅くはないのですが、今のおおかたの経営者の体質では望み薄です。安全保障同様、コロナで会社がつぶれないと目が覚めないのでしょう。

いつも、批判的なグチで終わるだけのブログは、もう書きたくないですね。せめて、日本改革私案を充実させるようにしましょう。

令和2年8月8日(土)

2020年08月08日