気質を軽んじる気質

 コロナ不況から日本は立ち直れるのかという番組での事です。コロナ禍で、世界中が軒並みマイナス成長になってしまいました。その落ち込みの中で、7月の景気指数(PMI)を見ると、中国、アメリカ、欧州がプラスなのにも関わらず、日本だけがマイナスでした。つまり日本だけが、立ち直りが遅いのです。なぜ日本は、アメリカの1/100程度のコロナ被害にも関わらず、かくも回復が遅いのかという問いを司会者がしました。
 エコノミストが、日本人が海外の人達に比べてコロナに対する恐怖心が高いからだと説明したところ、心の問題だという答えに、司会者が鼻で笑うような反応をしました。

 経済は人間の感情が動かしているというのは、いまではひとつの経済理論として、世界的にも認められています。ですから、日本人の国民性(気質)が影響しているという回答は何らおかしくないのですが、未だに日本人の多くが、国民性とか気質の話は非科学的な物であるかのようなイメージを持って語ります。残念ながら、世界から取り残された日本の現状が、ここにも現れています。

 心理学や脳科学の話が好きな程度の知識の人でも、日本人が欧米人などと比較して不安に思う気持ちが強いことはよく知られています。ですから、この回答は至極まっとう、当たり前の答えなのです。ですが、それが通用しない日本の社会は、科学的な理解力でもおくれているわけですね。

 バブル崩壊以後の日本の政策が、まるで効果を発揮できないのは、日本人の気質を無視しているからだと、あきれるほどにしつこく書いてきたのですが、変わっていないようです。これでは、日本人の気質に関する自著も、ホームページも誰からも見てもらえないのも、仕方が無いことなのですね。そしてそれもまた、日本人の大半を占める集団農耕型の人達の気質によるのですから、笑うに笑えませんね。いや泣くに泣けないかな。


令和2年8月19日(水)

 

2020年08月19日