同化せざる民の在日が反日なのは自我の渇望が根底に

 「日本人の気質」や「文化と文明」を書くなかで、扱いに苦慮したのが「同化せざる民」についてです。同化せざる民とは、国外離散者(ディアスポラ)など、移住先の民族集団や国家に『同化しない』『同化できない』人達のことです。

 この問題は、現在の欧州で頻繁に起きているテロの大元の問題でもあり、移民や難民と密接に結び付いています。それだけでは無く、グローバル化が叫ばれ、EUではヒトの移動が自由になったにもかかわらず、民族の同化という課題は、より深刻なものとなっており、人類の将来とも関係を持つ課題なのです。

 日本における在日問題の根本も、実はここにあるのでしょう。現在の社会においては、韓国、北朝鮮だけではなく、中国などもディアスポラを積極的に自国の先兵として活用しているのが現実の姿です。ですが、この問題を真剣に、まともに取り上げるメディアも、文化人もほとんど見かけることはありません。



 今更、ここでこの事を書き始めたのは、『私を「差別扇動者」とレッテル貼りした人たちへ(百田尚樹)』のなかに、一橋大学での講演を妨害した中心団体の代表は、35歳の在日朝鮮人三世で、一橋大学の大学院生であるという一文を見つけたからです。

 日本における反日活動について、今更取り上げようというのではありません。在日韓国人の中で、日本においては日本人になれず、さりとて韓国に行っても韓国人として扱われない。一体自分のアイデンティティは、どこにあるのかという内容の記事を読んだ事があります。
 本国からの執拗な反日思想の刷り込みは、結局日本への同化を許さない事を強制することにつながるのは言うまでも無いことでしょう。さりとて、在日という差別を受けながらも、日本という国において享受できている生活すべてを否定するきにもなれないのが、偽らざる所なのでしょう。これでは存在としての自我(アイデンティティ)が強固に確立されないのも無理からぬ事です。

 この在日3世が、単なる政治的なプロで、韓国政府の手先なのかどうか、私にはよくわかりません。ですが、もしそうで無いとするならば、3世にもなって、未だ日本人として同化することが出来ない彼を哀れに思うのです。


 日本の歴史を見るとき、多くの人達が大陸や朝鮮半島から来日しています。しかし、その多くは日本人に同化して、日本人として今現在を迎えています。しかし、戦後の日本においては、出身民族からの圧力で日本人への同化を許されない人々が多く存在しています。彼らはまさしく、「同化せざる民」なのです。
 日本への帰化の有無によらず「同化せざる民」は存在します。その自我が不安定なるが故に、出身国の一員であると言う強硬な行動をとることで、自らのアイデンティティを確立せざるを得ないのだとしたら、これほど哀れな話はありません。

 そんな事を考えてしまいました。3世が単なる反日勢力のプロであってくれた方が、むしろ気が楽です。それは、多くの在日の人々も同じだと思うのは、私の傲慢な意見でしょうか?

 同化せざる民の問題は、テロ問題だけでは無く、これから世界中で大きく取り上げられることになるでしょう。


平成29年6月12日(月)

 (参考)日本人の気質 補章・外伝「【補章】同化する気質と日系人」
     文化と文明「【外伝】同化せざる民の変容:「同化できない」から「同化しない」へ」

2017年06月12日