九州などの豪雨の土砂崩れは人災なのか!?
ネットで虎ノ門ニュースを何気なく見てたら、科学者 武田邦彦が熱弁を振るっていた。なぜか他の番組ほどには、過激な発言では無くかなり抑えた論理的(?)な説明をしていた。彼のさまざまな話の内容を信じるか信じないかは、それぞれに任せるとして、ひとつ非常に気になる発言があった。
それは、もう1週間にも成ろうというのに未だに孤立して救助を待つ人がいる、福岡・大分県等の大雨とそれに伴う土砂崩れ並びに河川の氾濫についてである。
彼の説明を要約するとこういうことになる。前段では、気象庁、NHKを初めとするテレビ局批判があり、それもおもしろいのだが、深刻なのが後段の説明である。今回のような大規模な土砂崩れが非常に多く発生して被害を拡大させている大きな原因のひとつが、山林の管理をサボって来たからだというのだ。本来なら、かなりの雨量でも、山が保水してくれるはずである。しかしそれは人間が植林した木々をきちんと間引くなどの管理を行ったときの話である。植えっぱなしで、ここ何十年も山林をきちんと管理していないがために、今回のような大きな災害につながってしまった。従って環境省などの怠慢が引き起こした人災だというのである。
テレビをみていても、とにかく流れてきた材木の数が半端ではない。どうしてこんなに、と思ってはいた。報道では、専門家とやらが、これまでなら流されないような大きな木が流されてきている、それだけ雨量が多くて山が持たなかったのだという説明をしていた。この発言についても武田氏は真っ向から反論していた。前段で述べた雨量報道のごまかしが、ここで生きてくる。つまり、大げさに言うほどの特別な雨量では無いのだと。昔の殿様は治水が国を治める重要な治世であった。それがほとんど治水をきちんとやらなくなったから悪いのだと。
彼の説明をすべて信じるわけではない。雨量を多く見せるごまかしがあったとしても、それは災害防止の上からかも知れないし、そもそも、単位面積あたりの最大雨量時間がどこにどのくらいであったのか、どこからもそういう情報はでていない。崩れた山の斜面にどのくらい雨が集中したのか、またそこの保水能力がどう変わっていたのか。NHKなども盛んに新しい試みとか言うのだが、なぜか最も肝心な情報はさっぱり出てこない。民放では、被害が大きいほど視聴率が稼げるので「(災害は)祭り」だと、テレビ局の人間が言うのを彼は実際に聞いているそうだが。あまりにも悲しい話である。
里山が荒れて動物と人間との境界線が曖昧になり、熊などの動物被害が増えているという話はテレビでもやっている。それが、単に高齢化だけのせいなのか、そのあたりはほとんど探求されていない。さんざん植林した杉を有効に使うこともせず、ひたすら安い材木を海外から輸入して、林業を衰退させ、後継者を育てるどころか無くしていった政治家の政策や、目先の利益だけを追う事にだけ熱心な国民がそれを容認してきたのは、間違いの無い事である。それが、大きな山崩れに全く関係が無いと誰が証明しただろうか。だれも、その話はしない。
武田教授の話は、奇想天外なところもあり、すべて正しいなどとはとても言わないが、それでも、彼の指摘した事柄を、冷静にもう一度考えて検証するくらいの事があってもよいはずである。ひたすら、右よりとか、でたらめとかのレッテルによる問答無用の態度は、結局自らの無知を拡大させるだけであろう。
結論から言えば、確証は無いのだが、さまざまな金儲けだけの政策のツケが回ってきているような気がして成らないのである。正しい意味の国土保全が為されない限り、今後も自然災害の被害は増え続けるのかもしれない。立ち止まって、考えて欲しい。
平成29年7月11日(火)