34%+11%の不満を小差というメディアの愚かさとは

 フランス大統領選挙の決選投票の結果である。極右とされるルペンの得票率が34%で、無効/白票が11%。さらに全体の投票率も前回より下がっている。これだけの結果をまえにして、マクロンが大差で勝利しEUを守った、などと言う報道を続ける日本メディア。この愚かさ、どうしたらこの人達に気が付かせられるのであろうか?もっとも故意にやっているのだろうが。

 ポピュリズム、大衆迎合、扇動、極右など、あらん限りに批判的な報道を続けた相手が、そもそも決戦に残るだけでも重大な事なのに、最後にはやはり良識が勝ったなどと言う馬鹿げた評価しか出来ない。こういう既存の体制にどっぷりとつかって、自分はさしたる不満も無いメディア関係者達には、グローバリズムに取り残された発展途上国からでも、独裁国家からでも無く、民主主義先進国とされる国々から燃え上がった、この行き場の無い不満ややるせなさの鬱積した感情を持つ人々の世界同時出現を理解出来ないのだろう。
 この事はもはや人類史として捉えるべき出来事なのだが。言うなれば現在文明の崩壊の始まりかも知れないのだから。

 さすがに一部の知識人からは、この先進国に燃え広がる不満の鬱積と暴発に、日本もまた無縁では無いという発言がでている。日本は常に世界の後追いなどといわれるが、かならずしもそうではなく、むしろ世界の一歩先を行くことも多い。自爆の大元である特攻から、極左集団の内ゲバや殺人、オームのような宗教の仮面を来た過激テロ集団によるVX、サリンなどを使った殺人と無差別テロ、さらには体制派への不満による民主党政権誕生など、すでに日本では先に起きているのである。ある意味、それが過激にならないで済んでいるのは、右よりとか民族主義的などと言われる政権が誕生したことで、少し時間稼ぎに成っているのであろう。

 だが、ばらまきと自己保身しか無い政治家や官僚が、この国を牛耳る限り、よほどの格差是正がないかぎり、いずれまた不満が爆発するときが来るだろう。それが、北朝鮮や中国との安保がらみがきっかけになった時、恐ろしい結果が生じてしまうかも知れない。左に行き過ぎた振り子は、いつか反対に振れる。すでに振れ始めているのだが、生活に困らない勢力にはその事が見えない。みえないまま、極端に振り子が振れたならば....。

 
平成29年5月08日

 

2017年05月08日