肉体戦争から頭脳戦争へ
すでに世界の軍事や安保における最前線は、肉体戦争から頭脳戦に変化してきている。いわゆるサイバー戦争と呼ばれるものがその典型である。だがその実体は、まだまだ一部のネット上の機能の軍事利用やハッキングによる攻撃という類いの物である。しかし、すでにその戦争の中身は大きく変わり始めているように思える。経済や資本主義市場の在り方が大きく変わったように、戦争もまた大きく変わり始めている。
欧米とりわけアメリカは、金融市場というこれまでの実体経済に裏打ちされた世界とは全く無縁の、金が金を呼ぶ金融市場を作り上げて膨大な利益を上げてきた。しかも、それはほんの一握りの人間達によって独占的に占有されてしまっている。同じような世界はまもなく、ネットからさらに拡張された仮想空間において、作り出されるようになるだろう。
北朝鮮が、バングラデシュの中央銀行をハッキングして大金を盗むことに成功したと言うが、ならば次は日本人が大金をはたいて購入に血道を上げる仮想通貨発行であろう。元でもいらず、愚かな日本人のように簡単に詐欺に引っかかる国民や、金の投資先を血眼で探している富裕層や、一部の独裁者や共産主義国家、あるいは高級官僚、政治家など、飛びつきやすいカモは世界中に存在する。全く新しい画期的な仮想通貨を発行し、あおるだけあおったら、自分だけ現実通貨に換金してしまう。あるいは、その仮想通貨で必要な武器等を購入する。そんな世界はすぐ目の前にある。
そこから先の世界は想像するのすら恐ろしい。金融市場は、実体経済に裏打ちされていないとはいえ、貨幣に換金されることで、市場としての意味があり、それなりの制限が自ずと発生する。だが、貨幣や市場すら仮想のものであれば、一体何が真実で何がうそなのか、誰にもわからないだろう。そんな世界を悪意を持った国家や組織が作り出したとき、ちょっとお人好しでお馬鹿さんな日本は、国富のすべてを奪われて、気が付いたら日本そのものが他国のものになっている、そんな悪夢すら思い描けてしまうのである。
知識や技術そのものに善悪は無い。それを活用する人間に悪人があるだけである。ということは、世界中の悪人を殺すか、その悪意を防ぐ高度な技術と智恵を持つしか無いのだろう。
だまされないと、事が起きないと、目を覚まさないことで有名な日本人(実際は集団農耕型気質)は、一体どこに向かうのだろうか。
平成29年7月16日(日)