貧しさを知らないメディア出演者たち
フランス大統領選挙。案の定、既存政党色の無い候補と、極右とされる候補の二人が、決戦投票に進むことになった。アメリカ大統領選挙と同じような経過をたどっている。それでも、選挙のやり方が異なるので、フランスでは中道のマクロン候補が勝つように思える。だが、今度もふたを開けてみないとわからない。4人の主要候補の残り二人に投票した国民の内で、既存政党の保守派候補への票は、マクロンに流れるだろう。問題は、急進左派候補に投票した若者層などが、正反対の右翼を嫌うか、それとも同じ反EUだからといって投票するか、それで決まるのだろう。
投票結果は時が経てばわかるので、今騒いでみても意味が無い。ここで話したいのは、相変わらずメディアそれも大手マスコミなどで声高に叫ばれ、TVでコメンテータなどと呼ばれる多くの出演者達が、もの知り顔でしている発言についてである。
感情に流されている
ポピュリズムは問題だ
理性で考えれば反EUは経済的に大損失なのがわかる
過激な発言で大衆を扇動するのは許せない
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はっきりいえば、この種の上から目線の発言にはもう、うんざり!
この連中はお幸せなことに、本当の貧しさとか苦労を知らないで生きてきたのだろう。おかずなど何も無い食卓、失業中これから先どうなるのかわからず恐怖にも近い強い不安、友や周囲の人間に貧しさを見てしまったときの言いようのない感情、そんなものとは無縁の人達なのだろう。
感情では無く理性だって、経験も無いくせに偉そうに言うな!明日の食べるものが無いのに、巡りめぐって損するだって、ふざけるな!大衆迎合だって、お前達は大衆では無いエリートなのか!
これまでも書いてきたように、TVに出たり偉そうに発言している人達は、結局今の境遇にどっぷりとつかって何の苦労も無く飯が食えている既存勢力、現状維持派の一人に過ぎないのだろう。
苦労も知らないから、人間に対する思いやりの気持ちも無い。相手の辛い気持ちを想像する感性も欠けているだろう。だが、それも個人の資質や養育環境なのかも知れない。なぜなら、およそぼんぼんの苦労知らずで来たはずの石原良純が発言していた。「感情的と言うけど、本当に苦しいときに理性的になれというのはむずかしいのではないか」と、とてもとても控えめに小さな声で発言していたから。
人格は他人に対する思いやりの気持ちを持てるかどうかが重要な事柄であり、また、理屈だけの政策で成功した例は人類史上どこにも無い、と私は信じている。
今世界中で起きている事は、人類が後退しているなどと言う馬鹿な話では無く、人類が到達し獲得したはずの西洋文明とアメリカ文明が、その限界をあらわにしている、新しい時代への過渡期なのだろう。進歩は決して直線的では無く、らせん状に動くのが当たり前なのである。そんな歴史すら理解していないえせ知識人たちには、もう本当にうんざりである。このうんざり感こそ、極端な現状破壊を求めさせる原動力なのである。
平成29年4月24日(月)