既存のメディアが隠すほどに右寄りになっていく国民意識

 テレビのニュースなど報道は、新聞と違って公平性を求められるので、表立って偏った報道はしていないかに見えるのだが、放送する内容を選択することで、実際には偏った報道をしている。昔はその事実に一般の国民が気づくことは難しかったのだが、ネット時代においては、それは全く逆効果となっている。
 ネット上では、テレビが伝えない世界のニュースも数多く取り上げられ、右であれ左であれ、それぞれの主義主張に基づく誇張されたコラムなども山のようにあふれている。特に、ネット時代以降に育った若者は、テレビ報道が特定のニュースを流さないことを感覚的に知ってしまっている。

 ひとつの例として取り上げたいのが、ヨーロッパでの難民に関するニュースである。ドイツで昨年暮れに起きた広場での多数の女性への性的な暴行については、さすがにテレビのニュースでも取り上げてはいたが、他のニュースのようにしつこいほど繰り返したり、深掘りした番組は数少ない。この事件に多くの難民が加害者に含まれていたことから、ドイツはもとよりヨーロッパで難民や移民排斥の機運が高まっていることはさらっとではあるがテレビでも伝えられている。しかし、ネット上のニュースなどを読んでいると、事態はより深刻な物であることがわかる。


 これまで難民に門戸を開いてきた北欧でも難民受け入れを規制するだけでは無く、国境を閉じ始めたのである。ドイツ以外の多くの国は国境検問を再開し、EUの国境なき自由な人の往来は、もはや昔のことになってしまった。

 さらにすでに受け入れた難民に対しての風当たりも、激しいものになっている。以下はネットから拾ったニュースなので、著者が真偽を確認したものではないことだけお断りしておきます。


・デンマーク議会が難民申請者から一定額以上の金品没収や家族呼び寄せの制限を認める法案を可決した。
 また厳しい移民政策をとる同国は、留学生が週15時間の労働時間の限度を越えて働いたとして国外退去を命じた。

・スウェーデン、2015年に同国に到着した移民のうち、難民申請が却下された6万~8万人を国外退去処分とする方針を発表。

 スウェーデン西部沿岸のモルンダル(Molndal)では、身寄りのいない14~17歳の子どもたちが暮らす難民施設で少年が女性職員を刺殺する事件が発生。

 スウェーデン最南部のマルメでも大晦日の夜にアフガンからの難民孤児が200~300人集まり、10代後半の女子が8~10人の若者に取り囲まれる事件が起きている。英紙デーリー・メールによると、この3週間の間に、ストックホルム最大のスイミングプールのお風呂や更衣室で18歳未満の少女が難民孤児とみられる男に性的暴行を受ける事件が4件も発生。

 14年夏、ストックホルムに13~19歳の若者が5日間で17万人集まり、フェスティバルが開催されました。このとき警察は「いわゆる難民の若者、特にアフガン難民の若者がいた。性的暴行で数人のギャングが逮捕された」という報告書を作成していたのに公表されませんでした。スウェーデンに新しくやって来た17~20歳の難民孤児の犯行だとみられています。

・ドイツ、昨年12月31日に379件の暴力事件が発生し、その容疑者の大半を難民申請者と不法移民が占めた事実を受け、有罪判決を受けた難民を国外追放できるよう現行制度を厳格化する方針をメルケル首相が表明。

・ノルウェー極右政党も難民申請者から財産の強制没収を検討へ。

・難民申請者の財産を没収する措置は、実はスイスやドイツの南部バーデン・ビュルテンベルク州とバイエルン州でも導入されているそうです。世界幸福度ランキングで1位と3位の国が難民申請者の財産を没収するとは一体どういうことなのでしょう。これが「偽善」という仮面を剥ぎとった欧州の人道主義の素顔なのだと思います。

・シェンゲン協定国の中で、スウェーデンとデンマークに加えてオーストリア、ドイツ、フランス、EUには加盟していないノルウェーがすでに6か月の期限付きで入国審査を再導入しています。シェンゲン協定に入っていない英国でも食料の配給を希望する難民申請者に識別用のリストバンドをはめさせたり、難民申請者の家のドアを赤く塗ったりしていたことが明らかになりました。


 イスラム系移民や難民の大半はホスト国へのリスペクトを忘れていません。集団性的暴行をニュースで大きく取り上げれば、難民排斥の口実に使われ、極右勢力の台頭を招くという自粛の心理が人権派ジャーナリストや政治家に働いたのは間違いありません。しかし事実は事実として報道しないと、適切な対策がとれません。被害者は、現実を見ようとしない「ポリティカル・コレクトネス(政治的公正)」の犠牲になったとも言えるのではないでしょうか。

あなたは、これらの記事をどう思いますか?

いわゆるリベラルを標榜するメディアが隠せば隠すほど、むしろ国民の意識はより愛国的なものになっていきます。日本も同じです。

都合の良い報道や放送を垂れ流すメディアは、いずれ人類の汚点として歴史に刻まれることでしょう。

平成28年1月28日

2016年01月28日