「不妊治療への保険適用」政策への疑問

 菅内閣が発足したばかりで、批判めいたことは気が進まないのだが、やはり書かずにはいられない。菅総理が言及した、不妊治療費用の保険適用についてである。

 ネットでは昨日の今日だというのに早くも、早くも不妊治療の保険適用に90%以上が賛成という、大々的な記事だかコラムだかが載っている。たまたま目についたが、あまりにも手回しが良すぎるだろう。こういうのを見ると、なんだか、この政権も特定勢力と結託してるのでと、思わず考えてしまうのだ。

 そもそも不妊治療の保険適用に首をかしげてしまうのは、この目的がどこにあるのかわからないからである。発足したばかりで少しでも目立つ実績を上げるための宣伝(パフォーマンス)であれば、それはそれでわからなくもない。だが、そうだとしたら、あまりにも小さい話で、国民を馬鹿にしていないだろうか?

 もしも、本気で少子化対策だと思っているのであれば、どうしようもない無理解さだと言わざるを得ない。少子化の理由についてん、拙著「歪んだ人達」でも省をもうけてかなり詳しく取り上げている。ブログなどでも、何度も様々な項目を書いているので、ここでは省略したい。

 少子化対策を本気でやるのであれば、この社会のあり方、新自由主義的経済政策、男女共同の社会参画という名の個人原理主義と低賃現労働者確保のあり方など、根本的なところを改革しない限り、まず、少子化が大きく改善されることはないであろう。それをどこまで理解しているのだろうか?政策が軽すぎる気がしてならないのである。

 特定の勢力だけが喜ぶ政策は、菅内閣の基本方針から大きく外れると思うのだが。

 せめて、極端に走る悪い癖をやめて、最低限の歯止めだけは入れてほしい。ヨーロッパなどの国では、不妊治療には年齢制限が設けられている。確率の低いことに金をかけるのは非合理的だというのが、当たり前になっている。せめて、日本でも、このくらいはやってほしいと思う。

令和2年9月17日(木)

 

2020年09月17日