撒き餌政策への恐れ

 菅内閣が発足して、すぐに次々と政策を打ち出している。張り切っているので、それは良いのだが、あまり張り切りすぎると第一次安倍内閣と同じにならないか心配である。

 特に気になることがある。人間というのは、急に聞かれると思わず本音が出てしまうことはたまにある。政治家とて例外ではない。菅総理が、テレビで消費税は上げるという発言をして問題になると、慌てて打ち消しに走った。10年はあげないと。だが、これも安倍政権と同じであろう。増税に頼らず経済成長でといいながら、結局2度も消費税を増税した。これがまた景気の足をひっぱったのは紛れもない事実。

 菅内閣がばらまきともとれるようなことを次々に発言している。少子化対策として、家庭への補助を30万から倍増の60万にし、対象家庭も大きく増やすという。この手の政策が、少子化の根本解決にはならないことは、「歪んだ人達」の中でも詳しくのべたので、もう繰り返さない。それより気になるのが、この手のばらまき的な支援策が、実は国民への撒き餌(まきえ)なのではないかという危惧である。

 撒き餌というのは言うまでもなく、釣りで魚をおびき寄せるためにまく餌のことである。つまり、小さな補助や支援拡大とひきかえに、魚を釣る、つまり消費税を増税するつもりなのではないかと言うことだ。
 官僚たちは、こういうことを平気でやる。そして残念ながら、日本国民も案外簡単にひっかかる。増税のときに、すでにいろいろな支援を行っているのでそれを維持するためにも、といわれると両者の金額の差を調べもしないで「しかたがない」となってしまうのである。

 人気取り政策は必ず破綻するし、なによりこのままばらまきばかりでは、いずれ行き詰まる。もっと根本的な内需拡大策が必要なのだが、そのような成長政策はまだ見えてこない。デジタル庁などは、現在の弊害除去にはなっても、成長策につながるとは思えない。

 まだ批判すべき時期でないことはわかっているのだが、日本に残された時間はあまりないのだ。このまま没落していくか、踏みとどまれるか、菅政権の責任は重い。

令和2年9月21日(月)

 

2020年09月21日