歪んだしつけは見たくない

 スーパーに買い物に行くと、時々あまり見たくない場面に出会うことがあります。年寄り世代が、ひたすら賞味期限の新しいものを見つけようと散らかし放題なのも、見にくくて見るに堪えませんが、もう一つが親特に母親による子供への歪んだしつけです。

 今日も買ったものをバッグに入れているところで、母親と娘二人の親子に会いました。となりの机だったので声がよく聞こえました。姉のほうが、買い物かごから商品を取り出して、母親のエコバッグに入れようとしたのでしょう。

「入れなくていいから。邪魔だからしないで」

 あえて、子供の反応を見ようとは思いませんでした。スーパーなどでは時々この手のしかり声がよく聞こえます。この母親は、もしかしたら、この子がいじめの仲間に加わるようになるかもしれないとは、考えもしないのでしょうね。

 子供が親の手伝いをしようとしているのです。それを頭から悪いことのように否定し、邪魔するなと叱るなど、この親もまたどんなしつけを受けてきたのでしょうか。

 なぜもっとまともな子供への対応がとれないのでしょう。いくら急いでいようと品物を一つ入れさせるのにどれだけの時間的ロスがあるというのでしょうか。

「ありがとう、じゃ一つだけね。後はお母さんがやるから」
 あるいは、
「大丈夫。お母さんが入れるから。じゃ代わりに○○ちゃんをみていてね」

とでも言えばすむはず。叱らなくてはならない理由などまったくないのです。そこで叱るから、子供のまともな精神が育たない。


 子供にすぐ手を挙げる親も時々見かけます。見ているだけで、気分が悪くなりますね。あまりにも言うことを聞かないから手を出すと言うよりも、すぐに力で押さえつけるタイプの親が多いからです。これでは、子供はほかの子に手を挙げるのも無理ないでしょう。


 学校教育とともに、しつけをまともにできなくなった親ばかり目立つ社会に、明るい明日が来ることなどないでしょう。簡単に悪事に手をだしたり、犯罪を悪いとも思わない、暴力で自己満足を得る、そんな腐った人間が大手を振って歩いている社会など、一刻も早くおさらばしたくなります。


 逆に、素晴らしい子供に出会うときもあります。そんなときには、親のしつけがまともなのだなと感心してしまいます。
 あまりに自己中心的で、自己の権利ばかりを主張すれば、母親である前に女なのだから、子供は邪魔者でしかないという歪んだ精神にもなりかねないことを、もっと多くの日本人が考えなくてはならないと思うのですが。もちろん男も全く同じですが。


令和2年11月18日(水)

 

2020年11月18日