謹賀新年 貧乏な国

 

 明けましておめでとうございます。本年が皆様にとって、より良き歳となりますようお祈り申し上げます。


 めでたい挨拶もそこそこに、現実的な話をしよう。昨年平成27年(2015)は、世界中が荒れた年であったが、今年は日本もどうなるであろうか。自然は致し方が無いとしても、テロなど紛争の巻き添えだけは御免被りたい物である。

 しかし日本はもはや、かってのような経済大国はおろか金持ちの国ですら無いことを自覚すべきであろう。昨年暮れには、2014年の国民一人当たりのGDPがこれまでで最低になったことが報道されていた。OECDの中で20位という低さである。成長期には、4年連続で3位だった事から考えれば、これはとんでもない下落なのだが、国民にその意識が希薄である。国全体のGDPが未だ世界3位にとどまっているため、その言葉にばかり惑わされているのだろう。

 しかも、この20位というのもまやかしである。と言うのも、OECD加盟以外も含めた世界の国々の中での順位はもっと低いのである。2000年以降だけでも、以下のような低さである。

 

 USドルベースで見れば、4位から27位に、為替の変動を考慮した購買力平価で見ると、世界で30位の当たりをうろついているのだ。2014年度の名目GDPは約490兆円だったが、これはバブル崩壊直後の1992年の約488兆円と同じで、20年以上にわたって名目GDPが増えていないことになる。
 ちなみに1990年からのGDP規模で他国を見てみると、アメリカが約3倍、ドイツは2.2倍、イギリス2.6倍、中国27.2倍に増加している。そのことを示す経済の成長率に至っては、なんと世界で172位(2014年)なのだ。
 これが失われた20年の現実の姿である。少しばかりの経済成長や景気の回復などでは、とうてい追いつかないことがよくわかると思う。その意味で、国民の多くが景気の回復を実感できないのも無理からぬ事なのだ。

 だからといって消費税を増税すれば済む話でも無い。一人当たりGDPを回復するには何よりも国民の所得が増えなくては成らないのだ。格差にあえぎながら低所得を我慢するのでは無く、所得を上げる事こそが国全体を豊かにすることなのだ。それに逆行するような政策を並べている限り、アベノミクスの成功はなかなか望めないだろう。国民も、軽減税率などという小さな話に惑わされること無く、正しい経済政策が行われるように監視し、政治を動かしていかなくては成らない。ただ、どうにもならないのは、いまの自民党政権をもう一度下野させても、野党政権などいまよりもっと悪いという現実がそこにあるからだ。

 今年は明るく前向きな話題が、たくさん書けることを祈らずにはいられない。

平成28年(20116)元旦


2016年01月01日