中国の株式市場統制を許す欧米のエゴ
2016年開始の株式市場は大荒れとなった。4日の中国上海市場では、7%もの株価下落の緊急事態に対処するために、市場を1時間半も早く閉鎖した(サーキットブレーカー)。成立させたばかりの緊急事態への法律が早くも発動されたわけである。さらに、中国証券監督管理委員会(CSRC)は5日、上場企業の大株主・幹部による株式売却を規制するルールを検討していることを明らかにした。上場企業の大株主による株式売却を6カ月間禁止する措置が8日には切れるので、そのためでもあろう。
だが、これでは自由主義経済・市場主義経済ではあるまい。共産党による株式市場価格の統制である。株は上がるように国が統制することを前提として、多くの国民もまた株を購入している。その利益が「爆買」にもつながっているのであるが、儲かるときは市場主義、やばくなると統制主義では、本来許されないだろう。
人民元をIMFの基軸通貨として認めたり、世界の多くの国が参加するAIIBなど、国際的な基準やルールを守ることが前提の国際的な経済秩序において、中国だけがなぜ例外として認められてしまうのか。ここには、欧米の二重基準と言うよりも国家エゴがみえる。過去において日本が何かやろうとすればたちまち欧米が反対してつぶしたり、少しでも統制的な動きをすると批判の嵐を浴びせてきた。ま、日本のやり方もへたくそすぎたのだろうが。比較して違いがありすぎるだろう。 いま中国市場が混乱すると世界が混乱するからなどという身勝手な言い訳など聞きたくも無い。つぶれる物はつぶして市場から退場させるのが、資本主義経済の原則であろうが。
それにしても、いまの世界の国家エゴは、自国が儲かれば良いと言うことに偏りすぎてはいないだろうか。人権を唱える欧州などと良いながら、もはや実体はすべて自国の利益が犯されない範囲での話に過ぎないのだ。イギリスの中国へのごますり外交を見ればそれがよくわかるだろう。
いまだに欧米を理想化し、欧米崇拝思考から抜けきれない日本の権力者や支配階層は、このままだと世界情勢を見誤る事になるだろう。なぜならば、ここまで欧米が自国利益のみに目が行くということ自体、すでに世界の大勢は大きく揺らいでいる事の証なのだから。
平成28年1月5日(火)