去年10-12月GDPからわかること

 まずは事実の羅列

 2020年(R2)10月ー12月期GDPの伸び率 +3.0% 年率で+12.7%

 二期連続のプラス ただしその前の期(7-9月)は+22.7%の高い伸び

 それでも2020年年間では、-4.8% 11年ぶりのマイナス成長

 10-12月の個人消費は +2.2%  年間では -5.9%
      輸出    +11.1% 
      設備投資  +4.5%

 さて、これから何を読み取れば良いのでしょうか。個人的な思いつきを述べてみます。

 この10-12月のGDPのびはGoToキャンペーンのおかげだというのがニュースの解説ですが、本当にそうでしょうか?GoToによらず人出が出て消費が上向いただけではないのですか。無論少しはそこに寄与したとは思いますが。

 政府はGoToの成果を誇りたくてそう言い、反政府側は、おかげで感染が拡大して、反動が大きくなってしまった。1-3月期は、-10%程度の予想になるとしているのです。

 つまりどちらも都合良くGoToを使っているだけでしょう。なんにせよ、あれほどインバウンドだけが日本のGDPの支えであるかのように発言していたメディアや専門家はどこに消えたのでしょうか?
 つまるところ、国内の個人消費こそが最も大事で、影響の大きい項目だと言うことをもう一度示しただけではありませんか。


 それから、GoToではなく、巣ごもりなどの需要増による消費が大きかったことは、企業の半分が黒字であり、通販関連など大幅な利益増の企業がたくさんあるという事実が示しています。このことも押さえておく必要のあることでしょう。

 上場企業の決算で、増益企業が38%、減益企業が43%、赤字企業はわずか18%でした。つまりメディアが騒ぐのと違い、企業は儲けているのです。無論、大企業と中小零細の格差拡大でもあることは確かでしょうが。

 さらには、二人以上の家族の家計では、月平均の貯蓄額が17.5万円と最高額になったそうです。つまり、困っている人と同時に、物言わぬ小金持ちがいると言うことです。さらに貯蓄が最高額と言うことは、これが消費に回っていれば、もっと経済は活性化したと言うことです。


 一方でうがって悪く言えば、実は金持ちが株価の値上がりで、もうけているのが大きいのだとも考えられます。裏付けの数字をもっていないのであくまで推測ですが。いずれにせよ、貧富の格差が拡大していることは間違いありません。それも、金持ちと庶民だけではなく、儲けた企業の正社員と切り捨てられた観光業などの非正規社員とで。


 結論めいて言えば、結局こういう総合的・複眼的な視野で見た経済政策が全くとられていない、このことが30年にもわたる日本経済の沈下の主原因なのでしょう。これは政治家と官僚だけでなく、経営者や国民全体の責任でもあります。目先の利益やきれい事を言う人物を議員にし、歪んだメディア報道をそのまま鵜呑みにして自ら考えようとしていないのですから。


 こんな小さな経済ニュースでも、実は考えることはたくさんあるのです。そういうものの見方をする癖をつけていただきたいものです。

令和3年2月15日(月)

 

2021年02月15日|分類:政治, 社会, 経済