ジェネリック医薬品の闇
富山の小林化工という会社が業務停止116日という重い処分をうけた。言わずと知れた、水虫薬に睡眠薬を混ぜて販売してしまい、その結果、人身事故などが起きた事件である。
あまりにもずさんで、特殊なのかと思っていたのだが、どうやらそうではないようである。ジェネリック医薬品というのは、いわゆる特許の切れた後発医薬品のことである。当然安いので、国は医療費削減のために、いわば半強制でジェネリック医薬品の使用を推し進めてきた。小林化工もジェネリック医薬品を扱っていた。
結果、何がおきているのか。ジェネリック医薬品メーカは、ウハウハである。何しろ、国が医師を脅して自分たちの製品を売ってくれるのだから。個人的な話で恐縮であるが、持病のために連続投与治療を受けている。つまり毎月薬をもらっているのだ。で、ジェネリックはいやなので、できるだけ避けてきたのだが、ここ数年前から半ば強制でジェネリックにされてしまった。
ここで、またまた大手ジェネリック医薬品メーカーの日医工が、問題を起こしている。なんと七五品目もの薬を昨年から自主回収しているのだ。そして、ここに来て業務停止の厳しい行政処分が出されるのではないかとの記事が出たのである。当の企業のHPには、全く知らないなどと、これまでの腐った会社と同じ反応をしている。
大手マスコミは、この手の国内の企業不祥事はほとんどスルーしてしまう。なぜなら、基本的には政治家や官僚がかばうのと、テレビなどのCMスポンサーである企業への遠慮である。国民の健康よりも自分たちが大事なのは、もはや多くの国民が知るところとなっているのだが。
ジェネリック医薬品すべてがそうだとは無論言わないが、かなり問題のある業界と言わざるを得ないようである。急に儲かるようになったため、利益第一の経営者や企業が多く群がっているのだ。実際、日本だけではなく、アメリカにおいても数年前から問題視されているようだ。
日本でもこれが悪化に拍車をかけたのだが、医薬品メーカが自分で製造しなくても良いように法律が改正された。つまりどこかに委託して製造してもらうのである。それが、医薬品ではインドになる。
インドではこの分野は中国と同じで、世界のシェアを握っている。コロナウイルスで表に出たが、なんと世界のワクチンの6割をインドが供給しているのだという。アメリカで数年前、このインドからのジェネリック医薬品がとんでもないもので、大騒ぎになったとか。無論日本では全く騒がなかったが。しかも医薬品などのお目付役であるアメリカのFDAが正しく機能していなかったというのだから、闇は深い。ジェネリック医薬品の場合、書類審査だけで、中身のチェックが行われないのだという。アメリカの商業主義、利益優先もここまで行ってしまっていたのだ。
日本も同じようなものである。だから次々と不祥事が表沙汰になる。
規制緩和の闇は、いたるところに潜んでいる。規制緩和が悪とは思わないし、むしろ必要だと思う。しかしながら、規制緩和の結果、トラックなどのドライバーへの過剰負担や軽井沢のバス事故など、規制緩和が行き過ぎて新たな問題を生み出す例が後を絶たない。日本人は極端に走りやすい気質なのだから、規制緩和も、有効な歯止めを常に用意する必要がある。それをさせない利己主義者達とは、本来政治家が戦うべきなのだが。同じ穴のむじなになっているのが、やりきれない。
今回のジェネリック医薬品問題もさして騒がれることなく、国民の前からは消されていくのだろうか。やりきれないな。
令和3年2月28日(日)