コロナのオオカミ少年効果を招いた人達
昨年(2020年)に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたのだが、繁華街などの人出が減らず自粛効果が前回のように上がっていないことが指摘されている。宣言後の週末でも、前の週よ利は減少しているところが多いのだが、前回の宣言時と比較すると3倍から6倍という人の多さである。
これについて自粛疲れや若年層の漏れるの低下などを原因としてあげているメディアも多い。自粛疲れなどがないとは言わないが、それよりももっと大きいと思われるのが、オオカミ少年効果に類する人々の意識変化であろう。
オオカミ少年効果というのは、そのネーミングからもわかるように、何度も繰り返されることでその効果がなくなることを意味する。これは災害時の避難勧告と実際の次男行動との関係で、語られるようになった。つまり、避難勧告を出しても実際に災害が発生しないという「空振り」の発生が,次の避難勧告への信頼性を低下させて、誰も避難しなくなるという現象である。
個人的にはこの現象が、今回のコロナ騒動でも起きていると考えている。ここであらかじめ述べておきたいのは、政府のコロナ対策を擁護する気はさらさら無いという点である。あまりにもお粗末であるという認識はもっているが、ひとまずそれを脇に置いておき、人々が自粛をしなくなった点についての話にしぼりたい。
明けても暮れても連日朝から晩まで、最多だ、大変だ、医療崩壊だ、とひたすら不安をあおる放送を続けているテレビとメディア。日本人の気質のため、楽観論では誰も見てくれないが、不安をあおると視聴率が上がるという、いやな現実がある。それにしても、これをもうすでに一年も続けているのである。オオカミ少年どころではあるまい。もはや、聞く耳など誰が持つというのだろうか。若者が自粛の言うことを聞かないと批判するのだが、若者はテレビよりネットをみている。そこでは、テレビの一方的な放送だけではなく、海外との比較などの情報も流れている。となれば、なおさら、テレビの煽りを信じなくなるのも無理はあるまい。
そしてこのメディアの不安をあおる放送に加えて、オオカミ少年に加担しているのが、都知事をはじめとする首長たちである。まさに猿芝居と言いたくなってしまうようなパフォーマンスだけで、一年もの間、現実的な解決策を実行してこなかったとしか見えないのだが。政治家なら課題を解決することが仕事で、訳のわからない看板をかかげたり、意味のわからない言葉を並べるだけで済むはずはあるまい。日本の政治家ほど楽な商売はないのでは。
日本医師会もまた、テレビの不安放送に加担して、したり顔の広報ばかり。なぜ、もっと自分たちが協力するために何をすべきか、何が出来るのか、それを提言したり実行するのが仕事であろう。メディアに出て浮かれて、問題に真摯に向き合っているとは到底思えない。
医師会への批判は、医師の間からも出てきている。この医療崩壊なる日本だけの歪んだ現状は、コロナだけの問題ではない。コロナ以前から、緊急医療が医師不足でどうにもならないことや、産婦人科など特定の科の医師不足が長いこと言われ続けていたのである。コロナはその延長線上に起きたに過ぎない。
これら三者が連日テレビなどのメディアを介して、人々の不安をあおり続けたのである。それも一年も。これでもなお、素直に信じるのは、よほど素直のか、あるいは情報弱者といわれる人であろう。
この大きな問題を誰も指摘しない日本の知識人たちもまた、劣化しているようにしか見えないのだが。
令和3年1月18日(月)