ヤマトタケル 夢幻の道 第二版
「ヤマトタケル 夢幻の道」第二版を出しました。
この本は和歌を中心に随筆を加えた、新しいスタイルの和歌随筆とでも呼ぶ作品です。
日本には古代から多くの英雄が生まれてきました。英雄の多くは、同時に悲劇の主人公でもあります。ヤマトタケルは、まさにその代表的な人物の一人でしょう。東征物語を中心にして彼の生涯を追いながら、彼の気持ちになり、新しく77首の歌を詠んでみました。「代詠ヤマトタケル」と呼べるでしょうか。
皆さんもヤマトタケルの気持ちになって、一緒に歌を詠んでみませんか。
詔勅 命奪いし 兄なれど 恨みも絆も なきぞ悲しき
波無くも かすかに寄せる 磯の香の 入り江の近き 人のざわめき
寂寥の 影すら紅き 山裾に 聲とてなけり 秋の夕暮れ
天皇の皇子という高貴な身分に生まれながら、父親に疎まれ過酷で危険な任務を命ぜられます。それでも周囲の人々、とりわけ多くの女性たちに助けられながら、精一杯に生きて行きます。しかし最後は、悲しい非業の死が待っていました。死んだのちもこの世への未練なのか、それとも愛する人たちへの最後の別れを告げるためなのか、白鳥となって大空に飛び立っていきます。そんな彼の苦難と感動の旅路を、共に巡ってみませんか。
ヤマトタケルに代わって彼の心情を詠んだ歌が、どれほど皆さんの感性に訴えかけられるかはわかりません。それでも皆さんの心の奥底に眠っている感性を、少しでも呼び覚ませればと思います。なお、ヤマトタケルが詠んだとされる歌を取り上げて解説することは、ほとんどしていません。それは専門家にお任せします。あくまでも創作和歌が主体です。
令和4年4月21日(木)