新たなる対立(リモートワーク賛成社員の惨めな将来)
コロナウイルスのパンデミックにより、企業の多くが半ば強制的にリモートワークやテレワークの導入をさせられました。それまでも働き方改革の一つとして推奨されていたのですが、企業側の動きは鈍く導入はすすでいませんでした。お上の言いつけに従順な国民の多くは、素直にこれを受け入れて、新しい仕事のやり方を経験したのです。はじめはネットワーク環境の不備などもあって、ゴタゴタしましたが、今ではすっかり慣れたようです。
このリモートワーク(テレワークも含む)の採用が定着するに従い、早くも二通りのくくりが出てきました。積極的に今後も導入を進める企業と、そろそろ元に戻したいと考える企業です。一方で、一度リモートワークを経験した従業員は、もはや元の出社型には戻りたくないと考える人がほとんどです。
つまりリモートワーク賛成派と、反対派の大きなくくりができあがったわけです。この両者は、すでに対立と呼べるほどの意見の違いが見られます。出社するなら何日かとのアンケートの問いにも、賛成派は出社日ナシか週一日が大勢でした。食べず嫌いだった禁断の果実は、相当に美味だったようです。
この問題では、いくつかの課題があります。それは極端に賛成している皆さんへの老婆心からの忠告とも言えるものです。ようやく様々な働き方が出てきたわけですから、水を差すような話はいやなのですが、この失われた30年で何が起きたかを冷静にみると、自然に湧き上がるものです。ちなみにこじんてきには、様々な働き方が混在するのが当たり前の社会だとかんがえています。無理に決めるのも、一方の型にはめるのも嫌いです。
賛成派の皆さんも今回急にリモートワークになった方がほとんどだと思います。つまりすでに今の会社で仕事をこなしていたのです。ですから、仕事の内容もやるべきことも、やり方もわかっています。でも、信州社員がいきなり初日からリモートワークで仕事しろと言われて、さて何が出来るのでしょうか。むろん、データ入力や仕様書をもらってプログラムを書くような死語の内容なら可能です。でもすべてそのような仕事ばかりではありません。じっさい、その手の仕事は、もはやほとんど外注されていますし、今後はIT・AI化で機械に取って代わられます。つまり、ここでは新しい仕事をどうやって覚えるのか、身につけるのかと言う大きな社会問題が、横たわっているのです。
これ以上により皆さんに切実な課題が、非正規社員化です。賛成派の皆さんに二つの問題があります。ひとつは、いつまでリモートワークが続けられますか、と言うことです。無駄な会議や打ち合わせ、ろくに仕事もしないシニア社員、飲み会の半強制など批判の対象になるのは主に管理職などのシニア世代でしょう。でも、歳を取らない人間はいないのです。皆さんもいつかは同じ年代になるのです。その時どんな仕事がありますか?シニア層の仕事配分という社会問題は、働き方が違えばさらに複雑さを増すのです。本当にご自分の将来を見通せていますか?
最後に、誰も指摘しない、最も過酷な、いやな話です。出社しないで済む仕事が大半なら、それをなぜ正社員にやらせる必要があるのかと、壕要でなくても普通の経営者なら考えます。そして、正社員から、個人契約社員に変えるでしょう。ウーバーや宅配運送業者の個人事業主の皆さんです。サービス業だけでなく、この動きはすでに建築業界で昔行われたことです。大工や左官の人達を企業から引き離して、個人事業主にしたのです。労基などにも守られず、けがをしてもすべて自己責任が問題になりました。これが、すべてのリモートワーク社員にのしかかってくる大きな問題なのです。認識していましたか?
個人でリモートワークで仕事を受けることが、年取っても可能だと言い切れますか?そういう人はかまいません。あるいはそれまでに投資で儲けて働かないと言う人はOKです。しkし、わたしには、すべての人がそうできるとは到底信じがたいのですが。
余計なお世話だったかもしれませんね。
令和4年8月10日(水)