企業マイナンバーと認証制度の創設を

 日本のデジタル化の遅れが、新型コロナウイルスのパンデミックにより白日の下にさらされました。この機械化の遅れは劣化の平成時代30年間続いていたわけですから、取り戻すのは容易ではありません。どうしてこうなったのかはすでに何度も述べていますので、ここで繰り返しません。

 それよりも、デジタル庁なるものも出来て遅ればせながら、国や社会の機械化の機運がたかまっているので、一つ提案を加えたいと思います。

 国民番号(マイナンバー)の利用がなかなか進まないのも、国がマイナンバーカードの普及にこだわり過ぎているからに見えます。つまり、真に国民の利便性よりも、特定の意図に基づいて普及策がすすめられているように思えるのです。とくにサイバー空間でのセキュリテイが世界中で問題になっている中、日本では危機管理の無知・甘さから、ここでも問題が起きているように思えます。

 マイナンバーを他人に知られないように注意をと言いながら、マイナンバーカードを普及させようというのですから、根本が歪んで見えます。ネットでは、中国にマイナンバー情報がもれており、それを役所も半ば認めていながら、相変わらず大手メディアなどは騒ぎません。野党もなぜか中国批判になるようなことでは政府を追及しません。失われた年金問題のように、政権を打倒したいときに官僚が自ら持ち出してきて政権を倒すためにとっておく、というのは考えすぎでしょうか。


 今のマイナンバーの話はさておき、ここでは企業のマイナンバーの話です。国民一人一人が番号を持つように、企業もそれぞれ企業番号を持つべきです。実際には、自治体や税務署レベルでの企業番号は存在しており、使われています。しかし、それはいわば役所側の利用であって、企業の活用にはなっていません。日本全体の企業がこの番号を使うことで、企業のITが変わってきます。

 では企業番号が一般に普及すると、どんな利便性があるのでしょうか。例えば、企業間での取引において、この企業番号が使われれば、よりデジタル化が進みます。というか企業間取引において、今後この企業番号は必須項目となるでしょう。注文書にも請求書にも、この番号が使われることで、企業間取引の機械化は相当に進むはずですし、活用の幅も広がります。
 一方、このデータを税務署に使われるとすべて丸見えでいやだという企業もあるかもしれません。実際、こう考える経営者が多いのでしょう。ですが、それでは世界から取り残されます。


 この企業番号(Kナンバーとでも呼びますか)を使う際に、もう一つ整えるべき仕組みがあります。それが、番号の認証です。機械化が進むと言うことは、同時にまたサイバー犯罪に狙われやすくなることでもあります。したがって、データとして送られてきたKナンバーが確かにその企業からなのかどうか、認証されなくてはなりません。これが、なりすましや社員による横領などの防止にもつながるわけです。認証されていないデータは、そのまま破棄する時代が来るでしょう。

 個人のマイナンバーでは、多重生体認証をマイナンバーカードに組み込むべきだと提案しましたが、kナンバーでも同じことが言えます。企業の生体認証として、いまのドメインの認証(HTTPSの仕組み)とは異なる、もっと厳重で確実な仕掛けが必要でしょう。それがあたらしいビジネスにもなります。


 デジタル庁が何百人も抱え込んで、プログラミングまで行うというのは、方向性として間違っています。それでは、人売りのSIerと変わらなくなります。そうではなく、このように基本的な考え方を生み出していくことこそ、より重要な仕事のはずです。


 企業間取引の機械化は一部企業のサービス(クラウドなど)に頼る形で進んでいます。これでは、GAFAにSNSを支配されたように、企業活動まで一部のIT企業に支配されかねません。これこそ国益に反します。こういう問題を政治家はおろか、専門家なる人達からも全くといっていいほどに、話が出てきません。これこそが、日本そのものの劣化の証なのでしょう。さみしいことです。


令和3年2月28日(日)

 

2021年02月28日|烈風飛檄のカテゴリー:idea